質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第四一号

内閣参質一〇二第四一号

  昭和六十年六月十四日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


     参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員久保亘君提出公有水面埋立計画に関する漁業補償契約ならびに総会決議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員久保亘君提出公有水面埋立計画に関する漁業補償契約ならびに総会決議に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

(一) 御指摘の箇所は、漁業権の放棄又は変更の手続に関する通達のなお書部分であるが、同通達にこのなお書を付したのは、漁業補償の実態上漁業協同組合が補償交渉の当事者となることが多いことにかんがみ、漁業補償の手続が漁業権の得喪、変更の手続と混同されることなく、また、漁業協同組合の運営に支障を生ずることなく円滑に実施されることを期待したものである。
(二) 御質問の「関係する組合員」とは、埋立事業等により影響を受けることになる組合員をいい、具体的には、当該事業の内容及び漁業の実態を踏まえ、各事例に即して判断すべきものと考える。
 なお、前記通達においては、非組合員である漁民の同意の要否については言及していない。

一の3から6までについて

 御質問の点については、当事者間の問題である漁業補償における被補償者側内部の問題であり、政府として必ずしも承知し得るところではないが、国営高浜入干拓建設事業については、同事業に反対し、漁業補償に応じない者がいた事実は承知している。なお、同事業については、茨城県知事から、地元市町村の意向を踏まえ、事業を中止し干拓予定水域を他の用途に利用したい旨の要望があり、国として諸般の事情を考慮して廃止したものである。

二の1について

 公有水面の埋立てに対する同意により水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第四十八条第一項第九号又は第十号に規定する漁業権の変更等をもたらすことになる場合には、当該同意の決定には、同法第五十条の総会の特別決議が必要とされている。

二の2について

 公有水面の埋立ての同意に係る総会の議決の議案の形式について特段の調査は行つていないが、「埋立ての同意」という議案の形式で議決されている事例があることは承知している。

二の3について

 御指摘の「埋立への同意」は、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第四条第三項第一号の同意を指すものと考えられるが、これにより直ちに共同漁業権が消滅するものではない。

二の4について

 漁業権を変更しようとするときは、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)上、都道府県知事の免許を受けなければならないこととされており、漁業協同組合の総会で「共同漁業権の一部放棄」が議決されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない。