答弁書第三七号
内閣参質一〇二第三七号
昭和六十年六月十四日
内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議長 木村 睦男 殿
参議院議員田英夫君提出大韓航空機事件の真相究明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員田英夫君提出大韓航空機事件の真相究明に関する質問に対する答弁書
一について
政府は、事件発生後直ちに国連安全保障理事会緊急特別会合の開催を求め、真相究明を訴えるとともに、これまで種々の機会に、ソ連に対して事件の真相究明を求めてきている。
また、政府は、昭和五十八年九月の衆・参両院における決議の趣旨を踏まえ、事件の真相究明については、事件の性質上中立的な国際機関により行われることが適当であり、これに対しできる限りの協力をするとの立場から、国際民間航空機関(ICAO)の場で、真相究明のためあらゆる努力をしてきている。具体的には、次のとおり対処してきている。
(一) 昭和五十八年九月に開催されたICAO理事会特別会合において、我が国は、事件の真相究明を強く訴え、事件の事実調査をICAO事務局長に指示する決議の採択のため努力し
た。
(二) この決議に基づき昭和五十八年十月来日したICAO調査団に対し、我が国は、資料提供等積極的に協力し、ICAO事務局長から同年十二月ICAO理事会に対し事件に関する調査報告書が提出された。
(三) 政府は、その後もICAO理事会において、真相究明のための努力が継続されるよう、また、ソ連が事件に関する十分な情報を提供するよう求めてきている。
なお、政府は、右に述べた対処振りについて、随時、国会等の場で説明してきている。
二について
防衛庁が公表した「昭和五十八年九月一日大韓航空機を要撃したソ連機の交信記録」にある時刻は、防衛上の必要に即した措置により記録したもので、正確なものと考えている。
防衛庁及び運輸省が明らかにした御指摘の三資料は、それぞれ事件に関し得られた交信内容及びレーダー航跡等の事実を示すものであるが、これら相互の関連については不明である。
三について
ザプロースは、一般的には公的質問の意味であるが、ソ連軍の用語としては、航空機等の彼我を識別するレーダー・システムの送信装置から発せられる質問信号をいうものと理解している。
このような敵味方の識別を行うための装置は一般にIFFと呼ばれているので、「目標はIFFに対し応答しない」と訳したものである。
なお、政府機関においては、御指摘の時間に緊急周波数(一二一・五メガヘルツ)の通信電波を受信又は発信した事実はない。
|