質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質一〇二第三一号

  昭和六十年四月二十三日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出宇宙開発の基本的政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出宇宙開発の基本的政策に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が決定した宇宙開発政策大綱に基づき進められている。
 宇宙開発政策大綱は、我が国の宇宙開発政策の基本方針として、

(1) 宇宙開発を社会的ニーズ及び国力との調和を図りつつ進めること
(2) 自主性を確保することにより、宇宙開発活動の安定的遂行及び自在な展開を図ること
(3) 世界の宇宙開発活動との調和を図り、我が国の宇宙開発を国際的に高いレベルで推進すること
を掲げている。

二について

 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)の施行により、民間企業が通信衛星を購入して電気通信事業を営むことが可能となつたところであり、政府としては、衛星通信の分野への民間の新規参入の円滑化と調和ある対外経済関係の形成を図るとの見地から、民間企業による外国の通信衛星の購入に関する所要の対策を決定したものである。

三について

 我が国の通信衛星は、通信需要にこたえるとともに、独自の技術力を確立することを目標に開発が進められている。政府としては、昭和五十九年四月二十七日の対外経済対策により、民間企業が外国の通信衛星を購入する途を開くとともに、今後とも、通信衛星の自主技術開発を進め、信頼性の高い、経済的な衛星の開発を行う方針である。

四から六までについて

 我が国としては、今後とも宇宙開発政策大綱に従い、我が国が自主的に宇宙開発活動を行い得る技術力を確保することを目標として、自主技術開発を進める方針である。
 昭和五十九年四月二十七日の対外経済対策及び昭和六十年四月九日の対外経済対策は、このような我が国の宇宙開発政策を踏まえた上で決定されたものであり、民間企業による米国製通信衛星の購入は、我が国の宇宙開発政策の基本に影響を与えるものではない。

七について

 現在、複数の民間企業が、米国製通信衛星の購入について検討を進めているところである。民間による衛星通信事業が行われるためには、電気通信に関する法制度上の一定の手続をとる必要もあり、米国製通信衛星の購入をいつ行うかは、種々の条件を勘案しつつ、民間企業が商業ベースで判断することであると考える。