質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一〇二第二九号

  昭和六十年四月二十六日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出多発する米軍特殊車両の交通事故等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出多発する米軍特殊車両の交通事故等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の事件及び事故は、次の四事案を指すものと考えているが、一般にこの種事案の発生は様々の要因に基づくものであり、それが何に起因するかを一概に断定することは因難である。

(一) 昭和六十年三月六日午前十一時二十分ごろ、宜野湾市内の一般国道五十八号上において、米軍車両の積載物(大型作業車)が歩道橋に衝突した。
(二) 同月九日午前八時半ごろ、石川市内において、米軍車両二台が方向転換の際、畑地に乗り入れた。
(三) 同月十九日午後八時四十分ごろ、中頭郡北谷町内の交差点において、米軍大型輸送車の牽引物(榴弾砲)が停車中の車両二台に衝突した。
(四) 同月二十八日午後四時五十分ごろ、金武町内の交差点において、米軍車両が他車を避けようとして近くの民家の家屋等の一部を損壊した。

三及び十三について

 一及び二についてにおいて述べた四事案については、関係当局から在沖縄米軍当局に対し、また、外務省より在日米大使館及び在日米軍司令部に対し、米軍の綱紀粛正及び再発防止策の徹底を申し入れるとともに、日米合同委員会の場においても同様の申入れを行つた。これに対し、米側は、米側としても本件を深刻に受け止めているとして遺憾の意を表明するとともに、米軍の綱紀粛正の徹底を図る旨及び関係諸手続の周知徹底を始めとする関係者の再教育等の措置により同様事案の再発防止に最大限努力する旨説明している。政府としては、今後とも、米側に対し、車両の通行に際しては、我が国関係当局と緊密に連絡・調整の上、安全対策に万全を期し公共の秩序や国民生活に最大限の配慮を払うよう求めていく所存である。

四、五及び七について

 日米地位協定上、我が国は、米軍に対し、国内における移動の権利を認めていること及び米軍車両は、その用務にかんがみ、公共の利害に重大な関係がある公の用務のため通行する車両と同様に扱われることが適当であることから、米軍車両については、車両制限令(昭和三十六年政令第二百六十五号)の適用が除外されている。もつとも、米軍車両といえども、同令の適用が除外されている他の車両と同様、道路の構造の保全のための必要な措置を講じた上で通行することとされており、米軍車両について同令の適用を除外することは、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため道路との関係において必要とされる車両についての制限を定めた道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十七条及び車両制限令の趣旨を逸脱するものではない。

六について

 車両制限令の適用が除外される車両は、同令第十四条及び車両の通行の許可の手続等を定める省令(昭和三十六年建設省令第二十八号)第四条に規定されているところである。

八、十一及び十二について

 日米安保条約に基づいて我が国に駐留する米軍は、その車両の通行については、日米地位協定上、我が国の交通秩序維持の観点から、我が国の交通関係法令に従うものとされている。

九、十及び十四について

 昭和四十八年の日米合同委員会合意は、米側は一定限度以上の規模の米軍車両の通行については我が国関係当局に対し関係情報を提出し、我が国関係当局はこれに対し技術的検討の結果を米側に連絡すること及び日米間で米軍車両の通行に際し道路の構造の保全のための必要な措置が講じられるよう所要の調整を行うことを定めている。
 なお、日米合同委員会合意は、日米地位協定の実施の細則を定める日米両政府を拘束する取決めであり、その概要は必要に応じ明らかにされているが、合意文書自体は原則として不公表扱いとすることとされている。