第102回国会(常会)
答弁書第二七号
内閣参質一〇二第二七号 昭和六十年三月八日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員木本平八郎君提出石油製品の輸入問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員木本平八郎君提出石油製品の輸入問題に関する質問に対する答弁書 一について 現在の情勢下において、ガソリンの輸入が行われた場合には、灯油等揮発油以外の油種の価格の高騰等連産品たる各種石油製品の供給上様々な問題を招き、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図るべく策定された石油供給計画の実施に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる。
二について 通商産業省としては、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図るため、毎年度、石油供給計画の策定を行つているところであるが、石油の需給事情その他の経済事情の変動によりガソリンの輸入が必要と認められる場合には、その輸入数量等を石油供給計画に定めることとなる。 三について 石油化学原料用ナフサの輸入は、昭和三十九年度から行われており、当該年度において石油供給計画の変更が行われている。 四について 石油供給計画は、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図るため、通商産業大臣が、石油業法(昭和三十七年法律第百二十八号)第三条に基づき、毎年度、石油製品の生産数量等の石油の供給に関する重要事項を定めるものである。 五について (1) 現在の我が国の石油製品価格体系の下では、ガソリンによつて全体コストの多くを回収しており、こうした中でガソリンの輸入が行われたとした場合、ガソリンが負担していたコストを灯油等他の油種によつて回収せざるを得なくなると考えている。
六について ガソリンの輸入については、現在、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)による規制は行われていない。他方、石油業法においては、通商産業大臣が石油輸入計画の変更を勧告することができる旨規定されており、通商産業省としては、同法の規定に基づく措置をとつたものである。 七について 政府としては、石油の安定供給の確保、自由貿易体制の維持を図ることが重要であり、関税及び貿易に関する一般協定等国際法上の義務については誠実に遵守することが必要であると考えている。 八について 石油製品輸入については、昭和五十九年六月四日の石油審議会石油部会小委員会報告においても示されているとおり、今後とも消費地精製方式を基本としつつも、中長期的には、必要な条件の整備を図りつつ、漸進的に国際化の方向を目指していくことが必要である。
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