質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一〇二第一一号

  昭和六十年一月十八日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 河本 敏夫   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員黒柳明君提出来年度税制改正大綱等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出来年度税制改正大綱等に関する質問に対する答弁書

一について

 昭和六十年度税制改正においては、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から所要の措置を講ずることとしており、このような観点からの税制改正は「増税なき財政再建」には反しないと考える。

二について

 税制調査会の「昭和六十年度の税制改正に関する答申」は、「既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得、資産、消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系に歪みを生じさせ、また、税制を一層複雑化させることとなる」とし、「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立つて、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ていると考える」と指摘しているところである。
 政府としては、税制調査会の答申の趣旨等を踏まえ、今後、税制全般にわたり広範な角度から検討する必要があると考えているが、いずれにせよ、直接税、間接税を含め、どのような税体系であるべきかということは、究極的には国民の合意と選択の問題であり、今後とも国民各層の意見を見極めながら幅広く論議していくべき問題であると考える。

三について

 昭和六十年度の税制改正においては、税制調査会の「昭和六十年度の税制改正に関する答申」において述べられている「一定額の元本から生ずる利子の低率分離課税方式」を実施しないこととしている。

四について

 政府の税制調査会は、内閣総理大臣の諮問を受けて、税制に関する基本的事項を調査審議することを目的として設置されているものであり、従来から税制全般について幅広く審議の上、答申を取りまとめてきているところである。
 一方、自由民主党の税制調査会は、議院内閣制の下で与党としての意思の取りまとめを行つているところである。
 このように、政府の税制調査会と自由民主党の税制調査会とは、その趣旨、性格が異なつているが、政府としては、両調査会での審議の結果を踏まえ、具体的な改正案を策定してきているところである。