質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

宇宙開発の基本的政策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年四月十五日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   宇宙開発の基本的政策に関する質問主意書

 日米間の経済摩擦緩和をめざした行動計画の策定が、目下の急務となつており、通信衛星の輸入問題が、一つの焦点となつているが、それに関連して質問する。

一 改めて聞くが、政府の宇宙開発政策の基本的方針はどのようなものか。

二 米国通信衛星の輸入は、あくまで当面の摩擦解消だけを目的とした、一過性の緊急対策なのか。

三 宇宙開発事業団が、一九八八年に打ち上げをめざしているCS-3通信衛星は、打ち上げ費用を含め、二基一組で六百八十億円だが、米国製の通信衛星は、二倍の重量を有し、しかも予備機を含めた三基一組でCS-3とほぼ同価格とされている。
 一度、米国製衛星の輸入に道が開かれると、「高くてなお不安定な国産」より「安くて高性能、しかも安定性に定評のある米国製」通信衛星が、圧倒的に優位を占めるのではないか。

四 政府は、米国製通信衛星の輸入を契機として、ゆるやかに従来の宇宙開発政策の基本的方向を見直すのか。方針として、輸入に力点をおき過ぎると、基盤のなお脆弱なわが国の宇宙技術、宇宙産業の育成強化の路線が揺らぐのではないか。

五 国産技術の開発と蓄積、宇宙産業の長期的育成をめざす従来の政策と、新たな輸入路線との均衡と整合は、相当困難な政策的課題ではないのか。政府はどのようなバランスを考えているのか。

六 現実の問題として、わが国が自主開発を考えているCS-4衛星や、H1ロケット計画と、米国製高性能通信衛星の輸入とは、どのように整合するのか。
 自主開発も進める、輸入も認める、という両面展開の余地はなく、むしろこの二つの方針は、正面から競合するのではないか。

七 政府は、米国製通信衛星の輸入実現を、今年度中と期待しているのか。

  右質問する。