質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

米国の戦略防衛構想(SDI)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年一月七日

黒柳 明   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   米国の戦略防衛構想(SDI)に関する質問主意書

 年頭のロサンゼルスにおける日米首脳会談において、中曽根総理は米大統領の戦略防衛構想(SDI)に関する説明に対して、理解を示したことが明らかとなつた。この時機に、本問題に関する総理の考え方などが国民の前に明らかになることは、時宜を得たものであると思う。
 そこで、以下数点について質問するので、中曽根総理の率直な見解を求める。

一 一九八三年三月、米大統領はいわゆる「スター・ウォーズ演説」において、SDIは「核兵器を無力化し、時代おくれの廃物とする手段だ」と述べたが、総理はそのことについてはどう判断しているか。

二 「このSDIが弾道ミサイルに対する完璧な防衛システムとなるには、何十年もかかり、その発展の各段階では米ソ双方をより強力な攻撃用又は防衛用の核兵器の開発に走らせ、また、SDIシステムそのものを攻撃する兵器を含む軍拡レースをひき起こし、軍拡は全く新しい段階を迎える」という内外の識者の意見があるが、これに対して総理はどう考えるか。

三 核兵器のもたらす危険を科学あるいは技術によつて封じ込め得ると考えるのかどうか、総理の所信を明らかにされたい。

四 総理が、今日の段階でSDIに対して理解を示した理由と根拠は何なのか。

五 SDIについては西欧諸国はどのような対応をしているのか。イギリス、西独、フランスについてどういう事情でそういう対応をしているのか明らかにされたい。

六 総理は記者会見で、SDIに対して「わが国は独自の憲法があり、国是の範囲で対応を考える」と述べているが、ここでいう「独自の憲法」と「国是の範囲」とはそれぞれどういうことを指しているのか。

七 「対応を考える」というのは日米軍事技術協力を含むのかどうか。そのほかに何が考えられるか。

八 今回、SDIシステムに理解を示したが、今後これが、米ソの激烈な軍拡競争の新段階を迎えることが明らかになつた場合、今回の「理解する」との発言は取り消すのか。

  右質問する。