第102回国会(常会)
質問第一号
米原子力空母「カールビンソン」寄港に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十九年十二月三日 上田 耕一郎
米原子力空母「カールビンソン」寄港に関する質問主意書 十二月十日ごろ米最新鋭原子力空母「カールビンソン」(八万一六〇〇トン)が横須賀に寄港する予定と報道され、政府も日本寄港を認めている。
一 米原子力空母「カールビンソン」はいつ、どこの港に、いつまで、何の目的で寄港するのか。 二 「カールビンソン」には九十三機の艦載機が積載されている。そのうちA6イントルーダー攻撃機など約半数は核攻撃能力を持つている。ラロック元米海軍提督は「米空母機動部隊は核兵器を約二百個以上装備している」と述べていたが、最新鋭原子力空母である「カールビンソン」は一隻で約二百個もの核を装備している、と軍事専門家もみており、核装備は疑いの余地がない。
三 神奈川県は、「非核兵器県宣言」を行つている。
四 現在、厚木基地周辺住民は、米空母「ミッドウェー」の激しい騒音に悩まされており、その艦載機の離着陸の中止を求めている。「ミッドウェー」に加えて新たに「カールビンソン」が横須賀港に入港し、その艦載機が厚木基地などに飛来すれば、騒音はさらに激化することは明白であり、「カールビンソン」の艦載機の厚木基地などの使用は認めるべきではない。「カールビンソン」の艦載機を厚木基地などに飛来させないという保障があるのかどうか。 五 米国は柔軟作戦にもとづいて西太平洋に空母二隻体制をとつている。今後「カールビンソン」が日本に反復寄港するようになれば、事実上日本が「母港」になるのではないか。
六 藤波官房長官は、十一月二十六日に日本共産党金子書記局長らが、「カールビンソン」寄港中止要求をした際、「国民の中には非核三原則の一つ(持ち込ませず)はもういいじやないかという意見もある」と述べた。このことと関連して、一九八三年三月二一日付「日経」は、中曽根首相は就任直後、ある会合で「非核三原則ができた時は(核積載艦などの)一時寄港は事前協議の対象外だつた。(現状は)本来のわが国の選択とは違う。(是正は)将来の検討事項だ」と語つたと報道している。この「日経」報道で述べられていることは事実なのか。 七 前述の藤波官房長官の話や、「日経」報道などからみて、政府が核積載艦船の日本への一時寄港を認めるという意図を示しているとしか思われない。核空母の一時寄港について検討したり、認めるなどということは絶対にないと断言できるのかどうか。 八 今年から米艦船への核トマホーク配備が行われるようになつた。「カールビンソン」の日本寄港は、日本を米国の前線基地として一層強化し、核不沈空母化するものである。
右質問する。 |