質問主意書

第101回国会(特別会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質一〇一第四五号

  昭和五十九年八月二十一日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員立木洋君提出全斗煥大統領来日についての日・韓合意に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員立木洋君提出全斗煥大統領来日についての日・韓合意に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、外国の政権の評価にかかわる問題について言及することは、差し控えたい。

二について

(1) 政府は、韓国の防衛努力が、同国の対話努力とあいまつて、現下の厳しい情勢下にある朝鮮半島の平和維持に寄与しており、また、同半島の平和と安定の維持は、日本を含む東アジアの平和と安定にとつても緊要であると認識している。
(2) 政府は、韓国政府からいわゆる「防波堤」論について説明を受けたことはないが、いずれにせよ、政府としては、かかる考え方はとつていない。
(3) 韓国に対する経済協力は、あくまでも韓国の経済社会開発プロジェクトに対し、被援助国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上に寄与するとの我が国の経済協力の基本方針に基づいて実施しているものであり、いかなる意味においても軍事力強化に寄与する性格のものではない。
(4) 政府は、昭和五十八年一月に、韓国の第五次経済社会発展五箇年計画を中心とする経済社会開発プロジェクトに対し我が国の経済協力の基本方針の下に可能な限りの協力を行う意図を表明し、円借款の対象として適当と考えられるプロジェクトの見積り額及び日本輸出入銀行融資適格と考える契約の推定額を合わせ四十億ドルのめどを示したものである。
 ただし、具体的な供与額は、あくまで円借款については年次ベースの協議において年度ごとの韓国側の要請を詳細に検討した上で、また、日本輸出入銀行融資については個々の契約についての具体的検討を踏まえて決定していくこととしている。
 昭和五十八年十二月に行われた韓国の第五次経済社会発展五箇年計画の修正によつても、かかる我が国の方針に変更はない。
(5) 政府としては、朝鮮半島の統一の問題は、基本的には南北両当事者間の直接対話による解決に委ねられるべきものと考える。

三について

 我が国は、従来から韓国を始めとする友好国との間で、友好親善等を目的とする防衛関係者の相互訪問を行つており、かかる訪問の機会にこれら関係者間において、時宜により軍事情勢等についても適宜意見が交換されている。

四について

 「日韓間の軍事関係」として具体的にいかなることが想定されているかは定かでないが、一般論として、条約の有無にかかわらず、防衛関係者の相互訪問や防衛問題に関する意見交換等を行うことは差し支えないものと考えている。

五について

 「チーム・スピリット」は、韓国の防衛を念頭に置いた米韓両国の合同演習であると承知しており、自衛隊が「チーム・スピリット」に参加することは考えられない。

六について

(1)から(3)まで 政府としては、大韓航空と乗客の遺族との間の民事上の問題に直接関与する立場にはないが、可能な範囲内で最大限の側面的援助を行うとの方針から、韓国政府に対して補償問題の円満な解決のために協力するよう、事件発生以来、外相会談等外交ルートで累次申し入れを行つており、これらの申し入れに対して、韓国政府は、円満な解決のための側面的協力を惜しまない旨回答している。
 政府としては、補償問題が円満に解決されるよう、今後とも可能な範囲内での側面的協力を継続する所存である。
(4) 本件事故の調査については、国際民間航空機関が昭和五十八年九月の理事会特別会合の決議に基づき実施し、その調査報告は同年十二月に公表されたが、我が国は、同機関の調査に対し積極的に協力した。