質問主意書

第101回国会(特別会)

答弁書


答弁書第三六号

内閣参質一〇一第三六号

  昭和五十九年七月二十七日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出核巡航ミサイル「トマホーク」の配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出核巡航ミサイル「トマホーク」の配備に関する質問に対する答弁書

一から八まで及び十一について

(一) ソ連は、核戦力及び通常戦力双方の分野において一貫して軍事力の増強を継続しているものと承知している。御指摘の極東地域におけるいわゆる中距離核戦力についても、ソ連は、地上発射ミサイルであるSS-20を百三十五基配備しており、また同ミサイルのための新たな基地を更に建設中であると承知しているが、米国が極東地域に同様のいわゆる中距離核戦力を配備しているといつた事実は承知していない。
 トマホーク・ミサイルには、核・非核両用の対地攻撃用のものと非核の対艦攻撃用のものとがあるが、米国は、同ミサイルの主眼は、米国海軍力の数的劣勢を踏まえての抑止力の向上にある旨明らかにしている。米国は、核戦力及び通常戦力双方の分野におけるソ連の一貫した軍事力の増強にかんがみ、自らの抑止力の確保のために努力しており、政府としては、艦艇配備トマホーク・ミサイルも米国のこのような努力の一環として開発が進められてきたものと理解している。
(二) 現在の国際社会の平和と安全が抑止により保たれていることは否定できない現実である。限定的であるか否かを問わず核の惨禍が再び繰り返されるようなことがあつてはならず、政府としては、そもそもいかなる紛争をも未然に防止することこそが重要であると考えており、このような観点から抑止を万全なものとすべく、日米安保体制を堅持しているところである。

九及び十について

 日米安保条約上、艦船によるものを含めいかなる核兵器の我が国への持込みも事前協議の対象であり、核兵器の持込みについての事前協議が行われた場合には、政府としては、常にこれを拒否する所存である。かかる政府の方針は、一貫して変わつていない。