質問主意書

第101回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二二号

内閣参質一〇一第二二号

  昭和五十九年五月十八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員上田耕一郎君提出環太平洋合同演習(リムパック)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出環太平洋合同演習(リムパック)に関する質問に対する答弁書

一について

(1) リムパック82において、海上自衛隊は、対潜訓練、防空戦訓練、水上打撃戦訓練等各種の汎用的な訓練を行つたが、特定の国の艦艇を守ることを目的とした訓練を行つたことはない。
(2) リムパック82において、海上自衛隊は、両用作戦の訓練にはかかわりを持たなかつた。
(3) リムパック82において、海上自衛隊は、米軍の両用作戦の訓練を支援する米空母への他国からの攻撃を阻止する訓練は行わなかつた。
(4) (3)の件に関して、米側に発言訂正の依頼をしたことはない。
(5) リムパック82の両用作戦の訓練想定については、海上自衛隊は参加していないので承知していない。いずれにしても、リムパックは、特定の国や地域を想定した訓練ではない。
(6) リムパック82において、米空軍のB-52数機がターゲット・サービスを提供したと承知している。
(7) リムパック82において、海上自衛隊が防空戦訓練を行つた際、米軍機がその目標となつたことはあつたが、B-52が含まれていたか否かについては、機種を確認したわけではないので不明である。
(8) リムパック82における主要参加部隊を列挙した資料は、リムパック82開始前に参加各国の同意を得た公表文によつており、公表文中には、B-52の所属部隊は挙げられていなかつた。

二について

(1) 海上自衛隊がリムパックに参加して行う訓練は、我が国による集団的自衛権の行使を前提としたものではない。海上自衛隊の参加は、飽くまでも戦術技量向上のため必要と考えているからである。
(2) リムパック84は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本の五箇国から、艦艇約八十隻、航空機約二百五十機、人員約五万名が参加して、現地時間で五月十四日から六月二十八日まで行われる。うち、海上自衛隊の参加規模は、艦艇五隻、航空機八機、人員約千四百名である。
(3) リムパック84においては、特に新しい訓練項目が加わるということはないものと承知している。
(4) リムパック84において、海上自衛隊は、対潜訓練、防空戦訓練、水上打撃戦訓練等各種の汎用的な訓練を行う予定である。その後のリムパックについては、海上自衛隊の参加自体未定である。
(5) リムパックは、特定の国を仮想敵とし、又は特定の地域を想定した訓練ではない。

三について

(1) リンク11は、艦艇等に搭載される特定の通信装置であり、艦艇等の間で迅速に情報交換を行うために使用されるが、リンク11に限らず特定の訓練においてどのような通信手段を用いたかを明らかにすることは差し控えたい。
(2) リムパックにおける訓練は、参加各国が対等の立場で事前に十分な調整を行い合意した手続に従つて実施するものであり、特定の国の指揮を受けて実施するものではない。なお、訓練の際、指揮を受けるかどうかということとその訓練に用いられる通信手段のいかんとは別の問題である。

四について

(1) リムパック80、リムパック82及びリムパック84に係る米国派遣訓練経費は、次のとおりである。

図 表

(2) リムパック84において、海上自衛隊がいかなる種類のミサイルを何発発射するかは未定である。
 シー・スパロー、ターター、ハプーンの昭和五十九年度予算の単価は、およそ次のとおりである。

シー・スパロー       約九千万円
ターター          約九千万円
ハプーン        約三億二千万円

五について

(1) リムパック82における海上自衛隊の対地射撃訓練については、事前の調整の段階で、米側に当方の実施の希望を申し入れ、米側から提供を受けた米軍射場を使用して同訓練を実施したものである。
(2) 海上自衛隊の対地射撃訓練は、我が国防衛のための海上自衛隊の戦術技量向上のため必要と考えるからである。
(3)及び(4) 他の参加国については承知していないが、リムパック84において、海上自衛隊は、カホオラベ島の射場で対地射撃訓練を行う考えはなく、米国西海岸サンディエゴ沖のサンクレメンテ島の射場で実施する予定である。また、その後のリムパックについては、海上自衛隊の参加自体未定である。
(5) リムパック84への参加国は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本の五箇国である。

六について

 リムパックへの参加は、海上自衛隊の戦術技量向上のため必要であり、今回のリムパック84への参加を取りやめる考えはない。その後のリムパックへの参加は未定である。