質問主意書

第101回国会(特別会)

質問主意書


質問第一三号

防衛施設周辺地域における民家防音家屋空調施設維持管理費に対する国の助成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年四月十七日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   防衛施設周辺地域における民家防音家屋空調施設維持管理費に対する国の助成に関する質問主意書

一 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(以下、「防衛施設環境整備法」という。)第四条に定める「第一種区域」における国の助成としては、住宅の防音工事に対する助成が限度であり、これは国の助成という本質からくる結論であるのか、それとも、国が民家防音工事補助を行つた家屋の空調施設の維持管理費に対する助成(予算補助)を創設するかどうかは、財政面及び気象条件等を含めた政策の問題であると考えるのか、政府の見解を伺いたい。

二 (1) 防衛施設環境整備法第四条に定める「第一種区域」における国の法律上の助成としては、住宅の防音工事に対する助成までであるとしても、沖縄県の置かれた気象条件等を考慮すれば、防音工事に対する助成で事足れりとすることは、「仏作つて魂入れず」の喩えのとおり、極めて片手落ちの行政と言わざるを得ない。
 この点について、政府はどのように認識しているのか、見解を示されたい。
  (2) 住宅防音家屋空調施設維持管理費に関する北谷町議会の要請決議(昭和五十九年一月)及び同嘉手納町議会の意見書(昭和五十八年十月)の中には、「防音家屋空調施設維持費については、町民は過大な負担を強いられ」、「せつかくの防音施設を使用しないで騒音の中での生活を余儀なくされる者も出ている。」ことが示されている。
 前出の決議に基づき、本年二月、大蔵大臣、防衛庁長官及び防衛施設庁長官に対し、上京団による要請が行われているが、国家の方針や施策に起因し、その結果として、住民に爆音被害を与えている原因者(国)の負担とすべきであるとの立場から、「住宅防音家屋空調施設維持管理費を全額国庫負担とするようその対策を図られたい。」とする現地の要望に対し、政府は現時点においてどのような認識をもつているのか伺いたい。

三 (1) 防衛施設庁は、住宅防音の実施後のクーラーの電気料の補助について、昭和五十四年度以降毎年概算要求をしていると聞くが、年度別要求額及び対象戸数等その算出根拠を示されたい。
  (2) 防衛施設庁の(1)に示された要求が、昭和五十九年度予算においても認められなかつたが、現時点において実現していない理由を、財政当局の言い分も含めて具体的に示されたい。

四 公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律第八条の二は、住宅の騒音防止工事の助成について定めているが、これは、防衛施設環境整備法第四条の規定と同趣旨の規定であり、同じ作用をもつものであるのかどうか伺いたい。
 もし、両者の間に立法趣旨及びその作用に差異があるとするならば、その違いを具体的に示されたい。

五 公共飛行場周辺の関係自治体には、航空機燃料譲与税が譲与されており、これを財源として、国が民家防音工事補助を行つた家屋について、空調施設の維持管理費を補助している自治体が三市あることが、私が本年二月二十七日に提出した「新東京国際空港周辺における民家防音家屋空調施設維持管理費補助金に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質一〇一第七号)の中で明らかになつた。
 また、新東京国際空港周辺の自治体には、新東京国際空港周辺対策交付金が交付され、これを財源として、民家防音家屋空調施設維持管理費が支給されている具体的状況が、前記答弁書の中で明らかにされた。
 このように、民間航空機の離着陸する飛行場の周辺においては、国が民家防音工事補助を行つた家屋の空調施設の維持管理費に対する助成の途があるのに、自衛隊及び在日米軍の航空機の離着陸する防衛施設(飛行場)の周辺においては、空調施設の維持管理費に対する助成がないのは、行政の公平さを欠いているとも言えるが、この不均衡についてどのように認識しているのか、縦割り行政に立つた見解ではなく、内閣としての見解を伺いたい。

  右質問する。