質問主意書

第100回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一〇〇第一七号

  昭和五十八年十一月二十二日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員小野明君提出国公立大学の共通第一次学力試験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小野明君提出国公立大学の共通第一次学力試験に関する質問に対する答弁書

一について

 国公立大学の共通第一次学力試験(以下「共通一次試験」という。)については、共通一次試験の実施以前に行われていた各大学の入試問題にみられたいわゆる難問、奇問が無くなり、適切な問題が出題されるようになつたこと、それにより高等学校における教育の正常な発展に寄与していること、第二次の学力検査等における面接、小論文等の活用、推薦入学及び第二次募集の実施等、種々工夫、改善が図られていることなどの点で評価を受けており、一方、教科・科目数の減、実施時期の繰下げ等その改善について意見が出されている。

二について

 共通一次試験の実施状況等については、文教委員会等における質疑を通じ、また、資料の提出等により適宜説明しているところであるが、今後とも、遺漏のないよう適切に対処してまいりたい。

三について

 高等学校卒業見込者の共通一次試験志願率は若干低下しつつあるが、これについては、専修学校等その進路に選択の幅のある大都市圏で下がつているものの、その他の地域においてはそのような傾向がみられないなどの状況にあり、「国公立離れ」か否かについては、にわかに判断できないものと考える。

四から七までについて

 国立大学の入試の在り方については、現在、国立大学協会において入試に関連する諸問題について検討するための第二常置委員会のほか、入試改善特別委員会を設け、大学入試センターとの連携の下に、全国高等学校長協会等の意見を聴取しながら検討を進めているところであり、その結論を待つて適切に対処してまいりたい。

八について

 二段階選抜については、「大学入学者選抜実施要項(以下「要項」という。)」に定めるところにより入学志願者の数が入学定員を大幅に上回り、第二次の学力検査等を適切に実施することが困難であるため、特に必要がある場合に実施することができることとなつている。
 その実施状況は、昭和五十四年度には十九大学四十学部が実施し、約一万三千人の受験生が不合格となつているが、昭和五十八年度では十四大学二十八学部で実施し、約六千人の受験者が不合格となつている。
 このように二段階選抜の実施大学、学部及び不合格者数は共通一次試験の発足当初に比べ少なくなつているが、今後とも、要項の説明会、学長会議等において、二段階選抜の趣旨の徹底を図り適切な運営について指導してまいりたい。

九について

 大学入学者について、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を備えた者を公平に選抜するため、職業高校出身者、身体障害者、社会人、帰国子女等を積極的に受け入れるよう要項に明記し、各大学を指導しているところである。
 昭和五十七年度では、職業高校出身者で推薦による入学者約六百名、身体障害者約四十名、帰国子女約三十名、社会人約四百名などが国公立大学に受け入れられている。
 これらの入学者数は年々増加傾向にあり、今後とも、各大学に対し、これらの者の受入れについて努力するよう指導してまいりたい。

十について

 大学間格差の解消に資するため、就職時におけるいわゆる指定校制の是正を働き掛けるとともに、地方の国立大学の整備、私立大学に対する助成の充実などの施策を通じ、各大学の特色ある発展を期しているところである。
 また、過熱した受験競争を緩和するためには、入学者選抜方法の改善を進める一方、社会一般の有名校偏重の風潮を是正するとともに、高等学校における進路指導の一層の充実を図ることが必要であると考える。