質問主意書

第100回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一〇〇第一〇号

昭和五十八年十一月八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出沖縄の野生動物保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出沖縄の野生動物保護に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 沖縄の野生動物のうち特別天然記念物に指定されているものはアホウドリ、ノグチゲラ、カンムリワシ及びイリオモテヤマネコがあり、天然記念物に指定されているものとしては、ケラマジカおよびその生息地、ヤンバルクイナ、ダイトウオオコウモリ、リュウキュウヤマガメ等がある。
(2) これらについては、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、文化財保護法、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律等により、捕獲、譲渡等を規制しているほか、その分布、生態等について各種の調査を行うとともに、必要に応じ保護増殖事業を実施し、その保護を図つているところである。

二、三及び四について

(1) 沖縄の野生動物には、価値の高いものも少なくないと認識しており、必要に応じて保護措置を講じてきたところであり、今後ともこの方向で対処してまいりたい。
(2) 野生動物の保護のための規制を行うに当たつては、沖縄県において百万人を超える県民による社会経済活動が行われているとともに、防衛施設も存在している事情を十分に考慮していく必要があると考えている。
(3) このような考え方に立つて、沖縄県においては、自然公園法に基づく西表国立公園、沖縄戦跡国定公園、沖縄海岸国定公園の指定に加え、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく鳥獣保護区の設定、文化財保護法に基づく野生動物及びその生息地の天然記念物の指定等の諸制度の積極的活用を図つてきたところであり、また、防衛施設とも調整を図つて、保護ができるよう努めてきたところである。

五について

(1) 沖縄の野生動物に関する国際的な評価は、関係研究者等による学術研究の成果が内外の関係学界に広く紹介されること等を通じて定まつていくものと考える。今後、研究者からの調査研究の要望に応えて研究援助に努めてまいりたい。
(2) 国際的な研究所の誘致等の施策については、学術的な調査研究等の成果に基づく学界の意向など関連する状況を考慮しつつ慎重に検討すべきものと考える。

六について

 西表島における国立公園の区域は、住民の居住地及びその周辺を除く浦内川、仲間川等の河川沿いに広がる亜熱帯林を中心に設定されており、この区域内の自然環境については、観光開発を含む各種の開発行為を規制するなど適切な保護を図つているところであり、今後とも適切に対処してまいる所存である。