質問主意書

第100回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一〇〇第六号

  昭和五十八年十一月十一日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出酒類販売免許制度等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出酒類販売免許制度等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 酒類には特に高率の酒税が課され、酒税収入は国家財政上重要な役割を果たしている。このような酒税の保全を図るため、酒類製造業に免許制度を採用するとともに、酒類製造者が納付すべき酒税が酒類の流通取引を通じて円滑に酒類製造者のもとに回収されることが必要であるところから、酒類販売業についても免許制度を採用しているものである。
 更に、酒類販売業免許制度は、酒類が致酔飲料であるところから国民保健衛生や交通安全対策等の面においても少なからず寄与しているものと考える。
 酒類販売業免許制度は、以上のような理由から設けられているものであり、酒類の特性、生産・流通の実情を考慮した場合、酒税の確保等を図る上で必要かつ合理的なものと考える。
 なお、酒類販売業免許制度と規制目的の異なる他の制度とを単純に比較することは適当でない。
 また、酒類販売業免許制度の運用については、適正を期しており、その運用が合理性に欠けるとは考えていない。

三について

 酒類販売業免許制度については、第一次の臨時行政調査会答申の指摘を受けて検討を行つた結果、その運用の弾力化を図るための措置を講じてきた。
 なお、第二次の臨時行政調査会(以下「第二次臨調」という。)と酒類販売業免許制度との関係については、第五次答申において、同制度について緩和の方向で見直していく必要がある旨提言しているところである。

四について

 第二次臨調答申の提言内容に沿つて具体的な措置を講ずるべく検討しているが、いまだ結論を得るに至つていない。
 なお、当日の資料は、日本酒造組合中央会が配布したものであるが、第二次臨調の第五次答申の抜粋であると承知している。

五について

 酒類販売業は、免許制度の下にあるが、新規参入によつて業者数は年々増加しており、かつ、自由価格制であるので、適正な競争により、消費者のニーズには十分対応していると考えている。
 また、一及び二についてにおいて述べたとおり、酒類販売業免許制度は、酒税確保のため必要な制度であり、廃止する考えはない。
 なお、御指摘の中央酒類審議会の報告の抜粋部分は、酒類製造業者の販売促進活動上の問題点を指摘したものである。

六について

 清酒製造業界に対する具体的な支援は、次のとおりである。

(一) 清酒用原料米について、関係省庁間で十分協議し、清酒製造業者が良質なものを低廉な価格で安定的に確保できるよう努力している。
(二) 清酒製造業者の酒造資金の円滑な確保に資するため、日本酒造組合中央会に信用保証基金を設け、これに政府が補助金を交付している。
(三) 清酒の需要拡大を図るため、酒類の消費動向調査等必要な調査・研究を実施し、その情報を酒類業界に提供している。

七について

 御指摘の参議院大蔵委員会における政府答弁は、酒類の無免許販売の問題に関するものであるが、この問題については、現在、なお調査中である。

八について

 製造工程についてのお尋ねは、米粉糖化液の使用割合の問題と考えるが、米粉糖化液を使用する場合は、一定の範囲を超えないよう一般的な指導を行つており、東菱酒造株式会社についても、このような観点から指導を行つてきた。
 また、同社は、清酒販売に当たつて、不当景品類及び不当表示防止法第三条の規定に基づく「酒類業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和五十五年公正取引委員会告示第六号)に定める景品類の提供の限度を超える景品類の提供の点で同法に違反する疑いがあつたため、昭和五十七年三月、同社に対し、今後同様の行為を行わないよう警告を行つた。その後、同社が再び同法に違反する疑いのある行為を行つていたため、昭和五十八年五月、再度警告を行つた。

九について

 東菱酒造株式会社の財産及び同社から提供された担保物の差押えは適正に行われたが、具体的には、次のとおりである。

(一) 同社が誠実に納税義務を履行しないと判断されたので、租税債権確保のためやむなく差押えを行つた。
(二) 御指摘のような超過差押えの事実はない。
(三) 御指摘の原酒の差押えは、適正に行つた。
(四) 御指摘の現金、預金を差し押さえた事実はない。

十について

 国税の徴収に当たつては、従来から国税徴収法その他関係諸法令に従い適正な徴収方法を講じているところである。

十一及び十二について

 買受人が資金手当てを具体的にどのようにして行つたかについては、関知していない。
 なお、公売酒類の落札価額には、酒税相当額が含まれている。
 また、公売酒類は、蒸留酒製造者の製造場に移入され、当該移入酒類については、当該製造者に対する酒税法第三十条第一項、第三項及び第四項の規定の適用により、当該製造者の納税申告書に記載された同法第三十条の二第一項第五号に掲げる酒税額の合計額から、公売酒類に課された酒税相当額が控除されている。

十三について
 公売は、国税徴収法に定められた手続により適正に行つたもので、問題はないと考える。