第100回国会(臨時会)
質問第二〇号
教育の機会均等を守り、学生が安心して学び生活するための学生寮充実に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十八年十一月二十一日 吉川 春子
教育の機会均等を守り、学生が安心して学び生活するための学生寮充実に関する質問主意書 毎年の学費値上げや公共料金引き上げ、高物価によつて、高等教育の機会均等はますますおびやかされ、学生の生活はいつそう困窮化している。全日本学生寮自治会連合が今年五月に実施した「全国寮生生活実態調査」結果をみても、寮生の家庭は、年収平均三百三十万円と低所得階層者が多く、寮生の収入も月額平均五万二千円と、下宿生の収入八万六千円(昨年十月、大学生協連調査)に比べて、かなり低収入にとどまつていることがわかる。今日、学生寮は、経済的に生活困難な学生が学び生活する場として重要な役割を担つている。
一 国立大学の学生寮の既得権として根づいていた寮食堂の国庫雇い炊婦(夫)は、一九七九年を境に軒並み削減され、多くの寮では、寮生雇用の炊婦(夫)を置く、あるいは、生協に委託するなどして、かろうじて寮食堂を存続させているが、寮食堂廃止やむなきに至つた寮もでている。寮生が炊婦(夫)を雇用する場合、炊婦(夫)の確保や労働条件の問題など困難をきわめ、生協・民間業者への委託という形態も、採算や学生の実務負担の面で無理があるということである。政府は、炊婦(夫)の寮生雇用、業者への委託という形態を好ましいと考えているのか。好ましくないとするなら、どのような運営形態が望ましいと考えるのか。寮食堂の健全な運営のために、国庫雇い炊婦(夫)は不可欠ではないのか。 二 国立大学の学生寮には、寮のまわりに食堂がない、あつても朝食はとれない、などの地理的条件に置かれているところも少なくない。このような場合、実態に即して、新設の寮であつても寮食堂は設置できるよう柔軟に対処すべきだと考えるが、どうか。
三 一九六二年の学徒厚生審議会答申は、「学寮の共同生活を豊かにするためには、居室以外の共用施設が重要な役割を果たさなければならない」と、集会室、自治会室、食堂の重要性をくり返している。この答申を踏まえたうえで、一九八〇年、国立大学協会は、提言「学寮のあり方について」のなかで、さらに今日的な観点で「設備やサービスが行きとどき、良好な生活環境が確保されている状態」が求められているとしている。ところが、「新規格寮」は、寮の広さを寮生一人当たり十八平方メートル~二十平方メートルとし、集会室、自治会室、食堂を視野の外においている。学徒厚生審議会答申を待つまでもなく、青年期の学生の寮として、個々のプライバシーが守られると同時に、寮生どうしが語らい、切磋琢磨し合う場であることが求められる。
四 学生寮が本来の役割を果たすなら、入居を望む学生は極めて多いと考えるが、現在の収容定員は学生比で十二パーセント弱である。学徒厚生審議会答申は三十パーセントの収容率が望ましいとしている。今後、少なくともこれを目標として学生寮を新設していく必要があると考えるが、どうか。
五 大学院生数が増加している。院生のための独自の寮も必要になつていると考えるが、設置計画はあるのか。 右質問する。 |