質問主意書

第100回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一九号

泰東丸の捜索と遺骨収集の促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年十一月十六日

小笠原 貞子   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   泰東丸の捜索と遺骨収集の促進に関する質問主意書

 サハリンからの引き揚げ船泰東丸は、あの忌まわしい侵略戦争の直後の一九四五年八月二十二日、いわゆる“国籍不明の潜水艦”により撃沈された。それ以来、三十八年間経過した現在、未だに発見されず、六百六十七人の死亡者の遺骨も収集されていない。
 「遺骨・遺品の収集を済ませないと戦後にはならない」という遺族の悲痛な願いを思うとき、戦後処理の一環として政府の責任によつて、一刻も早く泰東丸の捜索と遺骨収集・遺族補償を図ることが重要である。
 以下、政府に質問する。

一 調査確認について

 今年の七月から八月にかけて、社団法人全国樺太連盟は、泰東丸が沈没したとみられる北海道留萌沖で独自の調査を行つた。その結果、泰東丸と思われる船体を発見した。船名の確認までには至らなかつたが、機銃弾・時計・バッテリーなど数多くの貴重な遺物を陸上に引きあげ、検討したところ泰東丸であることに、ほぼ間違いないことを裏づけた。
 そこで、次の点について尋ねる。

(1) この貴重な調査結果に基づき、政府は確認作業を進めていると思うが、どの様な対応をしているのか。具体的に答弁願いたい。
(2) 同連盟の調査から、すでに三か月を経過した。早急に、政府としての結論をまとめるべきであるが、いつまでにまとめるつもりか。少なくとも年内には結論を出すべきと考えるが見解を問う。
(3) 本来、国がやるべき調査を同連盟が独自に多額の費用をかけて行つたものである。それに対し、北海道も補助金を交付しており、国も何らかの財政的援助を行うべきであると考えるがどうか。

二 遺骨収集について

 発見された船体は、ほとんど泰東丸であると思われる。ただちに、遺骨収集作業にとりかかるべきであると考えるがどうか。
 また、予算上の措置も来年度には計上すべきである。併せて答弁を求める。

三 政府は、泰東丸であるとの確認が万が一出来なかつたという理由で、捜索や遺骨収集活動を取りやめてしまうのではなく、戦後処理を適切に行ううえでも、政府の責任において敏速に捜索活動等を行うべきであると考えるが見解を問う。

四 遭難者の補償については、広く戦傷病者戦没者遺族等援護法等の対象とすべく最大限の努力をすることが必要であると考えるが、政府の見解を問う。
 また、同援護法の対象とならない一般遭難者については、国の責任において適切な補償措置を講ずるべきと考えるが、併せて答弁願いたい。

  右質問する。