質問主意書

第100回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

大韓航空機撃墜事件の真相解明に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年十月十三日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   大韓航空機撃墜事件の真相解明に関する質問主意書

 大韓航空機事件については、これだけの日時を経てもなおかつ、事件の真相と実態についての解明は遅れている。よつて、以下の点について政府側の見解を伺いたい。

一 ソ連機による過剰反応や軽卒な撃墜が、全く弁解の余地もない非道なものであることは当然としても、事件そのものの主因ないし第一義的責任は、領空侵犯した大韓航空機側にあるとは考えないか。

二 真相解明の大きな鍵として必須のものは、米国側資料であり、とりわけ重要なものとしては、米空軍が保管しているものと思われる次の二つのレーダー基地の資料ではないのか。その一つは、各国民間機のフライト・プランを事前に連絡されているアリューシャン列島中部、シェミア米軍基地のDEWレーダーがとらえた大韓機の航跡データであり、今一つは、アラスカ西端、ケープ・ローマンゾフ基地の米空軍DEWレーダーによる大韓機関係データである。日本政府の照会に対して、去る九月二十二日、米国政府からアンカレッジ・レーダーの件については、既にラフな回答が寄せられているが、肝心のシェミア・レーダー等には全く触れていない。この二つの基地のデータが明らかになれば、大韓機事件の真相解明は大きく前進するものと思われる。この二つの基地の関係資料を含め、改めて具体的な対米要請を行うべきではないか。

三 前記両基地のデータも大韓機関係に限局したものであり、基本的に米国の国防上の安全や機密に触れるものではあるまい。ソ連側がさまざまなレベルでキャンペーンしている「大韓機スパイ説」や「米国による謀略説」への具体的な反論として、この際前記データは肝要なものと考えられる。政府の早急な対応を期待したいがどうか。

四 運輸省の航空事故調査委員会は、この種のわが国と関連の深い航空機事故の原因と真相の解明に当たるため、調査委員会を開くべきであると考えるが、政府の方針はいかがか。

  右質問する。