質問主意書

第100回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

北海道等の小麦の穂発芽等被害に対する救済対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年九月二十二日

小笠原 貞子   
下田 京子   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   北海道等の小麦の穂発芽等被害に対する救済対策に関する質問主意書

 北海道および東北の一部では、収穫期の長雨等により、秋まき小麦に穂発芽等の被害が発生している。
 とくに、北海道十勝支庁管内では、小麦の作付三万一千ヘクタールのうち約五割が被害を受け、六~七月の異常低温による豆類、飼料作物の冷害被害とあわせて畑作農家に深刻な打撃を与えている。また宮城県でも水田転作小麦に取り組む中で、検査数量の四割が規格外小麦という事態が生じている。
 北海道畑作における輪作作物の柱として、また水田転作の重点作物としての小麦生産の発展を図るためにも、被災農家の救済に万全を期すことが求められている。政府の具体的かつ緊急な対応策について以下質問する。

一 政府は、北海道等における穂発芽被害状況について、実態をどう把握しているのか。また、技術指導等の面でどのように対応してきたのか。

二 政府は従来、災害等による品質の低下した麦について「等外上」の規格を設定し、昭和五十五年産五万一千トン、五十六年産八万四千トン、五十七年産五万二千トンと、政府買入れを実施してきた。
 ところが、本年三月の検査規格改正で、普通麦の「等外上」の規格を廃止した結果、このままでは、低品質麦の政府買入れによる救済の途が一切閉ざされ、被災農家の打撃をより深刻化させることになる。
 従つて、少なくとも従来の「等外上」の規格に相当する小麦については、政府買入れの特別措置を講ずるべきと考えるがどうか。

三 政府は、本年度から開始される「国内麦流通円滑化特別対策交付金」の交付単価水準についてどのように考えているのか。
 交付金総額を固定し、交付対象数量によつて交付単価が決められるならば、低品質麦の発生が大きい程、つまり被害が大きい程交付単価が引き下げられることになる。交付単価は、政府買入価格と規格外麦の販売価格との価格差を補てんすることを基本に決めるべきと考えるがどうか。

四 政府は、穂発芽小麦について、品質低下による減収分を共済対象とみなす「損害評価に関する特例措置」を講ずることとしているが、その実施にあたつては、農業災害補償法の目的である被災農家の損失を補てんして農業経営の安定を図るため、政府買入価格と規格外麦の販売価格との価格差を十分考慮し、特例措置適用の収量を算出する「修正率」を実態に即して定める等、被災農家救済に実効あるものとすべきと考えるがどうか。

五 六~七月の異常低温被害対策と合わせて、「天災融資法」の発動、自作農維持資金の災害資金の貸付限度額の特例設定、既貸付金の償還猶予等の貸付条件緩和措置等、被災農家に対する資金対策について、すみやかに実行すべきと考えるがどうか。

  右質問する。