第98回国会(常会)
答弁書第一七号
内閣参質九八第一七号 昭和五十八年六月十四日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員市川正一君提出近代建築物の保存に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員市川正一君提出近代建築物の保存に関する質問に対する答弁書 一及び二について 国は、幕末から明治期に建設された洋風建築を中心にして、既に近代建築物八十一件百十棟を重要文化財及び国宝に指定しているが、更に調査研究を進め、可能なものから指定の拡大を図るよう努めている。
三について 国は、市町村が定めた伝統的建造物群保存地区のうち、その価値が特に高いものを重要伝統的建造物群保存地区に選定し、その保存のために市町村が行う事業について助成しているが、その事業が円滑に遂行できるよう現在の財政状況の中で可能な限り努力してまいりたい。 四について 建築基準法においては、建築物に関して安全上、防火上又は衛生上最低限必要な制限を設けており、一般の建築物にあつてはこの制限に従う必要があるが、文化財保護法等の規定によつて重要文化財等として指定等された建築物についてはその適用を除外している。
五について 文化的所産として価値の高い国の建築物の建て替えに当たつては、必要に応じ、関係省庁間の協議等を行い、保存すべきか否か、保存する場合の方法等については慎重に検討を行つている。
六について 国の建築物の新設に当たつては、必要に応じ、設計競技方式の採用、利用者からの意見聴取等を行い、良質な建築物となるよう十分配慮している。
七について 文化的所産として価値の高い建築物の保存については、国及び地方公共団体がそれぞれに努力しているところであるが、さらに、民間の活力が導入されることは望ましいことであり、国としてもこれを尊重し、その活動を慎重に見守つてまいりたい。 |