質問主意書

第98回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質九八第一五号

  昭和五十八年五月二十四日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出シーレーン防衛上の問題点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出シーレーン防衛上の問題点に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 将来の特定時点における主要資源の最低所要輸入量といつたものは、その時々における経済・社会の状況によつて変動するものであり、あらかじめ一義的に設定することには困難な面があるが、いずれにせよ、資源小国である我が国としては、有事・平時を問わず、主要資源の安定的供給の確保に努めることが重要である。今後とも、我が国の安全の確保を図るため必要な種々の施策の各般について、資源の安定供給の確保を図る観点を踏まえ、幅広い検討を続けていく必要があると考えている。

二について

 我が国の海上防衛力の整備については、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域において、自衛の範囲内で海上交通の保護を行い得ることを目標として進めてきているが、その際、有事において必要とされる輸入量を具体的に設定し、これを確保するというようなことを目標としている訳ではない。

四及び五について

 石油及び食料については、従来から計画的備蓄を実施しているところであるが、今後とも、備蓄対策については、国民の理解を得ながら、供給面の脆弱性、代替可能性等を勘案し、諸外国の制度等をも参考にしつつ、引き続き、所要の検討を行つてまいりたい。

六について

 「海洋情報システム」は、我が国の周辺海域を航行する一般船舶を対象として考えており、昭和六十年度運用開始を目途に整備を進めている。

七について

 海上保安庁の「海洋情報システム」と防衛庁の指揮、統制、通信のシステムは、その目的、対象とする情報の範囲、内容等が必ずしも一致しておらず、当面両システム間の直接かつ自動的な連係までは考えていないが、ともに船舶救助等その航行の安全確保に資する面もあるので、これに必要な情報の交換については、今後検討してまいりたい。

八及び九について

 有事における自衛隊と海上保安庁との関連についての法制は、自衛隊法第八十条及び自衛隊法施行令第百三条によつて基本的に整備されているが、有事における海上交通の安全の確保をより効果的かつ円滑に実施するという見地から、防衛庁及び海上保安庁がそれぞれの任務、権限に応じて協力し得る分野について、その具体的運用等を検討してまいりたい。

十について

 有事における海上交通の安全の確保については、海上輸送の実施体制の在り方を含め、総合的な観点から、国民の理解を得つつ研究を進めるべき事項であると考える。