質問主意書

第98回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質九八第一二号

  昭和五十八年四月十五日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員中野鉄造君提出朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本人妻里帰りと安否の確認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中野鉄造君提出朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本人妻里帰りと安否の確認に関する質問に対する答弁書

一及び三について

(1) 政府は、日本人妻の里帰りと安否の確認の問題は人道的観点から取り組むべきものととらえ、北朝鮮との間に国交がないことから取り得る手段には限界があるが、従来、次のような種々の努力を行つてきたところである。

ア 日本人妻の安否照会及び里帰りについては、留守家族の希望が前提となるところ、これまでに政府に希望が寄せられた二百十名の日本人妻すべてについて、日本赤十字社を通じ北朝鮮に対し、昭和五十年一月から昭和五十四年九月にかけて希望が寄せられたものから、順次十四回にわたり、安否照会及び緊急を要する者については里帰りの依頼を行つてきた。
イ また、昭和五十五年十二月には、右二百十名について改めて一括して同様の照会を行つた。
ウ さらに、昭和五十六年九月には、右二百十名のうち特に留守家族から安否照会の要望の強かつた九名の日本人妻について改めて同様の照会を行つた。

(2) この結果、昭和五十七年十月一日に、初めて北朝鮮側から日本赤十字社を通じ、特に家族から安否調査の要望の強かつた九名の日本人妻について安否が判明した旨連絡を受けた。北朝鮮側からの連絡によれば、今後とも、日本赤十字社を通じてのこの種の安否調査には、通信連絡を容易にする等により、できる限り協力するとのことであつた。
(3) これを受けて、政府としては、まず安否調査を確かなものとすることが大切と考えており、現在、かつて安否照会した日本人妻でいまだに安否が判明していない者及び安否は判明したが通信が確保されていない者のうち留守家族から安否照会等の要望の強い九十一名について、改めて日本赤十字社を通じ北朝鮮に照会しているところである。

二について

 我が国と北朝鮮との間の郵便物の交換は、両国間に直接の郵便運送手段がないため、中国ないしソ連経由で行われてきている。
 関係郵便物を円滑に送達するため、航空便は昭和五十三年当時より増便され、北朝鮮あて郵便物数も現在年間約十八万通と昭和五十三年当時に比べ二倍近くになつている。これらの郵便物に関する不着の申出はほとんどない状態であり、郵便物の交換はおおむね正常に行われているものと思われる。
 なお、両国間の円滑な郵便物の交換については、今後とも引き続き十分配意してまいりたい。