質問主意書

第98回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

「太平洋地域陸軍管理セミナー」および「太平洋地域後方セミナー」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年二月二十六日

上田 耕一郎   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   「太平洋地域陸軍管理セミナー」および「太平洋地域後方セミナー」に関する質問主意書

 集団的自衛権ならびに憲法にもかかわる「太平洋地域陸軍管理セミナー」および「太平洋地域後方セミナー」への自衛隊幹部参加について重大な疑義があるので、以下疑問点をただしておきたい。

一 「太平洋地域陸軍管理セミナー」とは何か。これは「太平洋地域後方セミナー」と同じものなのか。異なるものなのか。
 それぞれの目的および内容、参加国名を明らかにされたい。

二 これらの「セミナー」はいつからはじまつたのか。さらにその具体的内容等について説明されたい。

三 二月二十五日付「毎日新聞」報道によると、太平洋地域陸軍管理セミナーでは「治安出動」「作戦計画」「訓練管理」「兵たん・弾薬類の備蓄」などのテーマが取り上げられたと報道されているが事実か。テーマおよび具体的内容を明らかにされたい。
 また、「太平洋地域後方セミナー」ではどのようなテーマ、内容であつたのか明らかにされたい。

四 それぞれの「セミナー」に自衛隊幹部はいつから何名参加したのか、その内容について具体的に説明されたい。
 また、「セミナー」参加者の出席決裁は、いつ、誰が行つたのか。防衛庁長官は知つていたのかどうか。何故これまで公表しなかつたのか。

五 二月二十五日付「毎日新聞」報道によると、「太平洋地域陸軍管理セミナー」出席者の「海外出張届」には出張理由として「米国陸軍研修のため」とだけしか記されていない、ということだが事実か。

六 昭和五十六年三月の衆議院予算委員会提出資料では、一等海佐が「太平洋地域後方セミナー」出席のため訪韓しているが、この出張命令はどのような内容になつているのか。

七 昭和五十六年十一月十九日、衆議院野間友一議員への防衛庁提出資料によると、昭和五十五年度および五十六年度には「太平洋地域後方セミナー」以外に自衛隊幹部が安全保障に関する地域会議に参加していない、となつているが、昭和五十五年度には「太平洋地域陸軍管理セミナー」に参加しているのではないか。何故「参加していない」という回答をしたのか。

八 「セミナー」にオブザーバーとして参加しているのは、正式メンバーになれば予算化が必要であるから、と防衛庁長官は記者会見で述べているが、正式メンバーはどのような権利を持ち、義務を負うのか。その費用は年額いくらで、何に使用するのか。

九 在日米軍筋の説明では、「セミナー」は「対ソ戦略の効果的な発動に備えて、太平洋関係諸国の陸軍の訓練、演習や弾薬などの備蓄面での規格化を進めておく必要がある。そのような面での研究、情報交換の場」ということであるが、これは集団的自衛権を前提にした集団安保体制の土壌作りであることは明白である。このような「セミナー」に自衛隊が参加することは、憲法に違反するものであり、参加をやめるべきであると思うがどうか。

  右質問する。