質問主意書

第98回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇号

対馬海峡西水道問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年二月二十二日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   対馬海峡西水道問題に関する質問主意書

 日本周辺における海峡封鎖作戦を考える場合、特に微妙な問題を含んでいるのは、対馬海峡の西側部分(韓国側は「大韓海峡」と呼んでいる。)であるが、これに関していくつかの疑問点をただしておきたい。

一 防衛庁の夏目防衛局長は、去る一月二十四日の記者会見で「対馬海峡西水道は韓国の領海直前まで封鎖作戦を行える。」と述べているが、韓国側の領海部分における封鎖作戦が空白のままで、対馬海峡封鎖の効果を期待出来るのか。

二 韓国側の領海については、対馬海峡の封鎖作戦上何の措置も必要ないと考えるのか。

三 対馬海峡の封鎖を行うには、韓国側の協力は不可欠ではないのか。

四 対馬海峡の封鎖を行う場合、米国を通じて韓国側と交渉又は調整を行うのか。それとも日韓両国政府間で直接協議をするのか。

五 平時における協議を通じて、日韓又は日米韓の間に、対馬海峡封鎖に関する協定ないし覚書に類するものが必要ではないのか。他国の領海に関する問題であるから単に口頭了解等では不十分ではないのか。

六 政府は、対馬海峡封鎖問題について平時における協議等は不必要であり、有事の場合の米軍を通ずる緊急調整によつて了解は可能であると考えているのか。

七 いづれにせよ、仮りに韓国側が何らかの了解を与え、対馬海峡西水道の封鎖について協力の措置をとるならば、それは一種の共同防衛行為であり集団的自衛権の行使につながるものではないのか。

八 昭和五十八年二月十九日の報道によれば、韓国の李範錫外相は、去る二月十八日の韓国国会外務委員会で「日本は、対馬西水道を有事に封鎖するというが、そうなれば韓国の安全とも直結する重大な事態となる。この封鎖概念は今のところはつきりしていないが、この概念は日本とも協議してつかんでゆきたい。」と述べている。政府としては韓国側からの申出まで待つのか。それとも遅くない時期に日本側から協議を申し入れる考えはないのか。

  右質問する。