質問主意書

第98回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

三海峡及び日本周辺水域の警戒監視システムに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年二月二十一日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   三海峡及び日本周辺水域の警戒監視システムに関する質問主意書

 米国側は、日本周辺においてソ連の航空機、水上艦艇、潜水艦部隊等を監視し、有事の警報をタイムリーに提供する日米両国の能力は、現状では極めて不十分なものと認識している模様である。従つて、ソ連太平洋艦隊や極東空軍に対する日米合同の警戒監視システムの強化は、今後の大きな課題として早急に浮上して来るものと考えられる。
 よつて次の諸点について質問する。

一 宗谷、津軽及び対馬の三海峡並びに日本周辺水域の固定式対潜音波探知網の能力は、現状において満足すべきものと考えているのか。それとも可及的速やかに増強、改善を要するものと考えているのか。

二 シーレーン防衛に関連した対潜水艦対策の一つとして、南東航路に対しては小笠原諸島などの水域、また、南西航路に対しては南西諸島水域の音波探知網についても何らかの考慮が必要ではないのか。

三 一と二に関して来年度以降の予算措置について検討する意向は持つていないのか。

四 空中、海上、海中、更には衛星による監視機能は、一つの総合的システムとしてとらえるべきであろうが、米国側がこれらの日米共同警戒監視システムの強化又はこれらへの協力(経費分担を含め)を基本的に求めて来た場合は、政府としてどのように対応するのか。

五 わが国独自の偵察衛星の保有についての私の質問に対し、政府は、昭和五十七年七月十三日付内閣答弁書(内閣参質九六第二二号)において「これに関心を有しているところである。各国の利用の動向等については、今後とも注意深く見守つていきたい」と答えているが、米国側が特に日本海や北西太平洋海域を対象とした海洋偵察衛星を打ち上げた場合、日本側がそれを日米共同の監視システムの一環として利用することはあり得るのか。

六 日米共同で偵察衛星を打ち上げることには、どのような制約と障害があるのか。

七 日本周辺におけるこのような共同警戒監視システムは、より広範なエリアを対象とする米国のSOSUS対潜水艦監視システムの一環として、その補完的役割りを果たすことになるが、米国の世界戦略と日本の防衛構想を同心円とする中曽根総理大臣の立場からすれば、ごく当然の役割分担ないし協力ではないのか。

  右質問する。