質問主意書

第97回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

食料品製造業対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年十二月四日

中西 一郎   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   食料品製造業対策に関する質問主意書

 近年の食品産業においては、食料消費の停滞、消費者の本物志向や必需品志向の強まり等の消費面における変化、量販店の急速な伸長にみられるような流通構造における変革等により、その業種・業態間、企業間の競合ないし競争の激化が進んでいる。
 このような中にあつて、近時、量販店と食品メーカー、問屋との取引においては、納入価格の割引、販売促進費、協賛金の要求などで行き過ぎと見られる、いわゆるバイイング・パワーの問題が生じてきている。このような行き過ぎたバイイング・パワーは、正常な企業の経営基盤と適正な価格形成を損ない、また、一部の商品に品質の低下をもたらすおそれがあるなど、公正な競争秩序の維持や効率的な生産流通システムの形成の観点からみて大きな問題となつている。
 バイイング・パワーの問題は、基本的には、業界自身の自覚による当事者間の解決が望ましく、このような問題に対処するため、食品業界における取引の改善と取引の交渉力の強化を図るための自主的な取り組みや量販店の側における公正取引推進のための努力が必要となつている。しかしながら、現実に取引当事者間の自主的努力のみでは不十分な場合があるので、経済的弱者の立場を守り、不公正な取引を防止する見地から食品業界の実情に即した独占禁止制度の適切な運用が必要となつてきている。
 以上の趣旨を踏まえ、次の諸点について政府の考え方を質問する。

一 独占禁止政策の観点からバイイング・パワーの現状をどのように見ているのか。また、行き過ぎたバイイング・パワーに対する独占禁止政策上の対処方針を明らかにされたい。

二 今回、不公正な取引方法の一般指定が改正され、不公正な取引方法の要件がより具体化されたが、不公正な取引方法に対する予防的効果を期する観点から、更に、その運用基準等を明らかにする必要があると考えるがいかん。

三 バイイング・パワー等の問題に対処するため、中小の食品製造業者等が組織する事業協同組合等の行為については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第二十四条の規定により、同法が適用除外となると考えるがいかん。

四 独占禁止法については、食料品市場における量販店の進出等により、製造業者、卸業者の取引上の地位に比べ、量販店の市場支配力が強くなつてきているという食品産業の実態に即した適切な運用が図られるべきものと考えるがいかん。

  右質問する。