質問主意書

第96回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質九六第二九号

  昭和五十七年八月三日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員黒柳明君提出防衛費の枠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出防衛費の枠に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

(一) 五六中業は、防衛庁が各年度の概算要求等を作成する際の参考資料であり、当然のことながら、各年度の予算編成を拘束するものではない。
(二) 五六中業は、正面装備に関する事業については、ある程度詳細な見積りを行うが、その他の事業については概略の方向を見定めることにとどめており、期間中の防衛関係経費の総額については、詳細な見積りを行つているわけではない。他方、GNPは経済の状況によつて変化するものであり、したがつて、期間中の防衛関係経費とGNPは双方とも相当の不確定要素を持つた流動的なものである。
(三) また、各年度の防衛力整備については、その時々における経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を着実に達成することとしているところであるが、防衛庁においても、五六中業を着実に実施することを基本としつつ、できる限りの効率化、合理化等により、極力財政負担の軽減に努めることとしている。
(四) 五六中業の実施に伴う期間中の防衛関係経費とGNP一%相当額については、右のような事情にあるが、政府としては、昭和五十一年十一月五日付けの閣議決定に沿うよう最大限努力することとしている。
(五) 「防衛力整備の実施に当たつては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする」昭和五十一年十一月五日付けの閣議決定については、これを厳正に解しており、現在のところ、この閣議決定を変更する必要はないと考えている。
(六) なお、来年度以降の中期の経済見通しについては、現在諮問中の新しい長期経済計画の中で検討することとしている。また、防衛関係経費の総額について、昭和五十七年度価格で十五兆六千億円ないし十六兆四千億円といつているのは、防衛庁において、参考までに、大まかに試算したものに過ぎない。

四について

 昭和五十一年十一月五日付けの閣議決定の中に「当面」とあるのは、何らかの固定的な期限を予定したものではない。

五について

 防衛力整備に当たつては、我が国の自主的判断の下に、その時々における経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を着実に達成することとしている。
 五六中業は、このような方針の下に防衛庁が策定したものであつて、防衛庁の中期にわたる防衛力整備の進め方に関する考え方の大筋を示すものとして国防会議において先般(昭和五十七年七月二十三日)了承されているところであり、これを作成し直す必要があるとは考えていない。