質問主意書

第96回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七号

内閣参質九六第二七号

  昭和五十七年七月三十日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出沖縄の米軍基地をめぐる疑惑に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出沖縄の米軍基地をめぐる疑惑に関する質問に対する答弁書

一について

 艦船によるものを含め核の持込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、また、核の持込みについての事前協議が行われた場合には政府として常にこれを拒否する所存であることは、従来から政府が説明しているとおりである。

二について

 御指摘のジョンソン元国務次官の発言内容については承知していないが、いずれにせよ、沖縄の施設・区域に関し「本土並み」とは、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第二条においても確認されているとおり、日米安保条約及びこれに関連する取極がそのまま沖縄にも適用されるということを意味するものであることは、政府が従来から明らかにしているとおりである。

三について

 北部訓練場の上空については、同訓練場の提供に関する合同委員会合意(いわゆる「五・一五メモ」)の公表された要旨においても明らかにされているとおり、高度二、〇〇〇フィートまで米軍による使用が認められている。二、〇〇〇フィートを超える空域についてはあらかじめ米軍の使用が認められているわけではなく、米軍は、航空管制当局の承認を得た上で使用することができることとなつている。

四について

 嘉手納進入管制空域については、昭和四十七年五月十五日の沖縄の航空交通管制に関する合同委員会合意に基づき、暫定的に米国政府が進入管制業務を実施しているものであるが、米国政府の行う管制業務の方式及び最低安全基準については、現行の航空交通管制に関する合同委員会合意において少なくとも国際民間航空条約の基準と同等なものとすることとされているので、空の安全性が危機にさらされるというようなことにはならないと考える。

五について

 日米合同委員会関係文書については、原則として非公表扱いとすることが日米間で合意されているので、沖縄復帰時、日米合同委員会において合意された沖縄所在の施設・区域の提供に関する合同委員会合意(いわゆる「五・一五メモ」)についても、その全文を公表することはできない。
 しかし、国民生活と密接な関連がある事項については、必要に応じ、米側の了解を取り付けた上、その要旨を公表してきている。

六について

 沖縄本島における進入管制業務については、那覇空港に近接して米軍飛行場が位置している関係上、これら区域における航空交通の安全を確保するためには単一の施設によつて一元的な進入管制を行う必要があるため、日本側がこれら飛行場の進入管制業務を行うまでの暫定期間、復帰後も引き続き米国政府が一元的に進入管制業務を実施しているものである。なお、嘉手納飛行場における進入管制業務は、複数の飛行場についての広域的なレーダー進入管制業務であり、日本側がこれを引き継ぐ場合には施設、要員、運用等について十分かつ慎重な準備が必要であるが、現状ではこれらの準備が整つていない。しかし、引き継ぐ方向で今後も努力していく所存である。
 また、航空機戦技訓練評価装置(ACMI)のための空域の設定計画については、日米安保条約の目的達成との関係、航空交通の安全等を十分考慮しつつ調整を図つていくべきものと考える。