質問主意書

第96回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質九六第三号

  昭和五十七年一月二十六日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員黒柳明君提出極東有事研究と我が国の防衛力整備等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出極東有事研究と我が国の防衛力整備等に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 「日米防衛協力のための指針」に基づく日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与の在り方については、今後の研究作業の結果を待たなければならないが、右便宜供与の在り方が日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本の関係法令によつて規律されることは、右「指針」に明記されているとおりである。また、右「指針」の作成のための研究・協議については、我が国の憲法上の制約に関する諸問題がその対象とされない旨及び右研究・協議の結論が日米両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない旨日米間であらかじめ確認されており、したがつて、このような「指針」に基づいて行われる研究作業において憲法の枠を超えるようなものが出てきたり、研究作業の結果が両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるようなものとなつたりすることがないことは言うまでもない。

四について

 政府は、我が国の自主的判断の下に、「防衛計画の大綱」に基づき陸上、海上及び航空の各自衛隊の整備を行う考えであり、現在同大綱を改める考えはない。

五について

 御指摘の極東有事の研究とは、一から三までについてにおいて述べた日本が米軍に対して行う便宜供与の在り方についての研究を指しているものと考えるが、右研究は、日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合を対象とするものである。
 なお、現在、防衛庁が行つている有事法制の研究は、自衛隊法第七十六条の規定により防衛出動を命ぜられるという事態において自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題を対象とするものである。

六について

 政府は、当面各年度の防衛関係経費が当該年度のGNPの一パーセントを超えないことをめどとするという昭和五十一年十一月五日の閣議決定を現在のところ変える考えはない。
 なお、五六中業については、現在作成作業を行つている段階であり、まだ事業内容等は固まつていない。

七について

 政府としては、基本的には、米国についても武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき対処する考えである。ただし、対米関係については、日米安保条約等との関連もあるので、目下この点につき関係省庁で検討を行つているところであり、いつ結論が出るかについては述べることができない。

八について

 米国の第七艦隊の大連寄港については、政府としては、現在米中間で交渉が進められているといつた事実はないと承知している。
 また、米国の極東政策に変更があるというようなことは承知していない。