質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第二四号

防衛庁のシーレーン防衛構想に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年六月二十一日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   防衛庁のシーレーン防衛構想に関する質問主意書

 去る五月二十日、伊藤宗一郎防衛庁長官が、総合安全保障関係閣僚会議で明らかにしたシーレーン防衛構想について、幾つかの点をただしておきたい。

一 航路帯の一千カイリ以内は、日米共同対処としているが、この場合、日米が共同で対処する部門、範囲とはいかなるものか。

二 その場合における日米の任務分担については、当面どのように考えているのか。

三 防衛庁のこの構想によれば、対潜哨戒活動の範囲は「グアム以西、フィリピン以北」の海域にきわめて近いのではないか。

四 構想の第一項にいう「一千カイリ程度の海域で海上交通保護を行い得る能力を保有し、これを効果的に運用し得る防衛体制を整備しておく……」の表現と、これまで防衛庁が述べていた「防衛計画の大綱の水準をめざし……」とは具体的にどのような差異と変化があるのか。

五 海上交通保護を行い得る能力とは、つまりは防衛計画の大綱水準を超えた能力を意味しているのではないのか。

六 自衛隊機の行動半径を超える洋上防空は、米第七艦隊に依存するとしているが、現実に生起するであろうケースは、米ソの軍事衝突に伴うシーレーン攻撃への対処であり、米第七艦隊の空母打撃力が北西太平洋に止まつている公算はきわめて小さい。したがつてこの「依存構想」そのものが非現実ではないのか。

七 検討を伝えられるエイジス・システム搭載の大型護衛艦とは、米海軍のDDG-47級の排水量と性能を備えた艦艇を考えているのか。それともより大型高性能、基準排水量九千トンクラスの艦種を想定しているのか。

八 具体的にこれらの大型護衛艦を五六中業の中に組み込む考えか。その場合一護衛隊群に少なくとも一隻程度の計画にするのか。

九 六千トン級DDG、また九千トン級DDGの推定建造費はどれほどか。一千億円を優に超えるのではないか。

十 防衛庁は、海上自衛隊の現有勢力でのシーレーン防衛能力をどのように考えているのか。

十一 構想の第一項にいう能力とは、有事の際の最低必要輸入量二億トンをふまえたものなのか。また、それは大綱水準内の編成・装備で可能との見解か。

十二 大綱水準を達成した場合のシーレーン防衛能力をどのように想定しているのか。

  右質問する。