質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

都市緑化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年六月五日

藤原 房雄   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   都市緑化に関する質問主意書

 都市緑化事業は、国民の健康・体力の維持増進・都市の安全性の確保・都市景観の向上・気温の調節・大気の浄化・騒音の軽減等「緑」がもたらす多様な機能・効果を目的とし、良好な都市環境を構築する緑化建設事業である。
 したがつて、当該事業の果たす重要性に鑑み次の諸点について政府の明確な見解を求めるものである。

一 植樹保険制度について

 緑化事業は、生命を持つ樹木等を異なつた環境下に移植し、育てるものであり、枯死するなどの危険性の多い事業である。
 このような危険が生じた場合、一定規模以上の植え替え費用を補てんするのがこの制度である。
 世界でも初めてと言われる「緑の生命保険」制度が発足したことは意義があるが、その内容、今後の見通しについて見解を伺いたい。

二 「緑」の持つ多様な機能・効果を十分発現されるよう配慮して植栽する必要があるが、この緑化木に関連して次項について伺いたい。

(1) 乾燥地・寒冷地等植栽条件の厳しい地域においては、植栽後三年から五年経過するうちに枯死するものが多い。
 この枯損木については再び公共予算の中から支出され、植え替えが実施されているが投資効率の上からも重要視すべきである。
 この枯損の主たる原因は、植栽された樹木の順化能力の範囲を超えた環境下に植栽されたものである。
 建設省は、昭和五十六年より「公共用緑化樹木の品質寸法規格基準」(案)を定めて、これの運用を行つているが、この内容には、適地・適種の樹種の選定による植栽の規定が欠けている。
 建設省は、これの対策をどのように考えているか伺いたい。
(2) 建設省は、昭和五十三年樹木類の耐火性の上位は、常緑広葉樹に多いという内容の発表をしているが、常緑広葉樹類は寒冷・乾燥等には弱い樹種が多く寒冷・乾燥地ほど使用できなくなり北海道等に於いてはほとんど零といえる。
 そこで、良好な植栽を行うためには良質な樹木が必要であるが、乾燥・寒冷・塩害等に優れた耐性を有する緑化木の開発を推進し、開発者の立場を保護するとともに、厳しい環境下に耐える樹木の特殊な性質を保護するための適正な生産・流通が行えるよう措置すべきである。
 特定の注意を要する樹木の植栽にあたつては、適正な樹木が生産されている産地等を指定して発注するなど、各発注機関への徹底が重要と考えるがどうか。 

三 都市緑化事業の推進体制について

 都市緑化事業は、建設省所管であるが、今後益々重要となる事業である。
 そこで、都市緑化事業のより積極的な推進のため、制度の拡充・組織体制の強化が必要であり、法制化を検討すべきであるが、見解を伺いたい。

  右質問する。