質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

鉱山の保安に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年三月十五日

鈴木 一弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   鉱山の保安に関する質問主意書

 石灰石鉱山をはじめとする鉱山においては、発破作業等に多量の火薬類が使用され、その火薬類の管理をめぐつて地元住民から不安の声が聞かれるほか、発破作業に伴う飛石の被害、鉱山たい積物の崩壊・流出等による被害も跡を絶たない。
 これら鉱山近辺に住む住民の被害や不安を少しでもなくすために、以下の点について政府の見解と今後の対策を伺いたい。

一 栃木県の葛生町及び田沼町では、石灰石鉱山の採掘作業に伴い、発破の際の飛石事故がたびたび発生し、また火薬類取扱所が民家の付近に設置されており、このため両町の多くの住民から不安が訴えられている。
 政府は、同地区の石灰石鉱山の周辺住民の生活に及ぼす危険の防止について、これまで鉱山に対してどのような指導、監督を行つてきたか。

二 飛石等により、地元住民の家屋、田畑等に損害を与えた事故について、損害賠償の実態はどのようになつているのか。

三 他の地区の石灰石鉱山では、このような事故は起こつていないか。

四 火薬類取締法施行規則には、貯蔵する火薬類に応じて火薬庫の構造を厳格に規定するほか、貯蔵する火薬量に応じて保安物件に対する保安距離を定めている。
 しかしながら、火薬類取扱所については、その一時保管できる火薬類が少量なることをもつて、火薬類取締法施行規則においても、金属等の鉱山について適用のある金属鉱山等保安規則においても、火薬類取扱所の構造については火薬庫ほどの厳格な規定もなく、保安物件に対する保安距離に関する規定は存在しない。
 火薬類取扱所の近くに住む住民にとつては、そこに貯蔵されている火薬量の問題もさることながら、わが家の近辺に火薬等が置かれていること自体に不安を感ずるのである。火薬類取扱所の保安距離については、通達による行政指導がなされているものと聞くが、これらの点について規則の改正をも含めて政府はどのように考えているのか。

五 鉱山における発破による危険の防止については、金属鉱山等保安規則に「適当な装薬量」や「適当な防護設備」を設けること等によつて被害のないようにすることが定められている。
 また、捨石、鉱さい等のたい積による鉱害の防止のためには同規則に一節を設け、これら鉱害の防止を図つていると思われる。
 しかしながら、鉱山とその周辺地域においては、発破による飛石被害やたい積物の流出が跡を絶たないのが現状である。
 政府は、これらの原因をいかに考えるのか。現行規則の規定だけで十分であると考えているのか、見解を明らかにされたい。

  右質問する。