質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

新東京国際空港公団法第二十一条の規定による基本計画の指示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年三月十五日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   新東京国際空港公団法第二十一条の規定による基本計画の指示に関する質問主意書

 昭和五十七年二月五日付内閣答弁書(内閣参質九五第一一号)を賜つたところであるが、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)に指示された基本計画に関する御答弁につき、なお不明確・不十分な点が残されていると思料されるが故、更に質問内容を進展させ、また新たな問題も追加して、改めて、運輸大臣の御見解を以下承りたい。

一 公団法第二十一条の立法の趣旨について

(1) 基本計画で定めるべき事項について、運輸省令ではなく、政令によると規定した理由は何か。
(2) 基本計画で定めるべき事項に、航空保安施設の設置・管理に係る公団の業務を含めた理由は何か。
(3) 公団の業務のうち特に基本的なものについては、政府の航空政策に沿つて実施される必要があり、このため、基本計画で定めるべき事項が規定された旨の御答弁であるが、

(イ) 運輸大臣の航空政策ではなく、政府の航空政策に沿つて実施される必要があるとした理由は何か。
(ロ) そもそも航空政策は、運輸大臣ではなく、政府が決定するものなのか。とすれば、その理由は何か。
(ハ) 新東京国際空港の位置を基本計画で定めるべき事項の一つとせず、公団法第二条の規定の中で政令で定めるとした立法の趣旨は何か。
(ニ)いいかえると、新東京国際空港の位置決定に公団を関与させず、公団の業務の中から右位置決定を排除した公団法第二条の立法の趣旨は何か。
(ホ) 同じく、公団法第二条のみを先行施行させた同法附則第一条の立法の趣旨は何か。

(4) 基本計画の指示と公団法第二条の規定による位置を定める政令の効力について

(イ) 右位置を定める政令の効力発生要件と効力発生年月日について説明されたい。
(ロ) 運輸大臣による基本計画の指示は、右位置を定める政令の効力に拘束されるのか。
(ハ) とすれば、右位置を定める政令の効力下で基本計画が指示されると規定した公団法第二十一条の立法の趣旨は何か。

二 工事完成の予定期限は、政府の航空政策に沿うよう公団に指示されたとの御答弁であるが、

(1) 右工事完成の予定期限を定めた航空政策策定の前提となつた事情には、現在においてもなお変化がないということなのか。認めるに足る変化があるのであれば、それを明らかにされたい。
(2) 全工事の完成につき昭和四十八年度末を目途とすると指示した航空政策上の理由は何か。

三 昭和四十一年十二月十二日付基本計画(空飛監第二一四号の三)において

(1)滑走路の数について、公団法制定の前提となつた昭和三十八年十二月十一日付航空審議会答申で五本とされていたにもかかわらず、三本と指示した航空政策上の理由は何か。また、五本を三本とすることにより、航空輸送需要増に対応することができなくなる時期が、どの程度短縮されることになると、どのような根拠により判断されていたのか。
(2) 横風滑走路の必要的設置を指示しているが、空港立地につき、どのような気象条件が前提とされていたのか。
(3) 平行滑走路の間隔を二千五百メートル以上と指示した航空政策上の理由は何か。ちなみに、昭和五十五年十一月四日付関西国際空港建設計画では、三百六十メートルとしている。
(4) 平行滑走路のうち一本の長さをおおむね二千五百メートルと指示した航空政策上の理由は何か。ちなみに、右関西国際空港建設計画では、平行滑走路は二本とも長さ四千メートルとしている。
(5) 横風滑走路の長さとして、右の航空審議会答申では、三千五百メートルとされていたにもかかわらず、おおむね三千二百メートルと指示した航空政策上の理由は何か。
(6) 平行滑走路のうちおおむね二千五百メートルの長さの滑走路については、単車輪荷重二十五トンと指示した航空政策上の理由は何か。
(7) 空港敷地の面積を千六十ヘクタール程度と指示した航空政策上の理由は何か。ちなみに、右関西国際空港建設計画では、千四百ヘクタールとしている。
(8) 必要的航空保安無線施設としてDMEとILSを列挙せず、NDBとVORのみ列挙して指示した航空政策上の理由は何か。
(9) 航空法第五十六条で準用される同法第五十一条第二項、第四項及び第五項で規定されていたにもかかわらず、ことさら航空障害灯の必要的設置を指示した航空政策上の理由は何か。あわせて、航空法第五十一条の二で規定される昼間障害標識の必要的設置が指示されていない理由を示されたい。
(10) 運用時間を二十四時間と指示した航空政策上の理由は何か。

四 右基本計画に係る平行滑走路のうち、おおむね二千五百メートルの長さの滑走路について

(1) おおむね二千五百メートルの長さの滑走路として、三千メートルの長さの滑走路を設置せんとすることは、基本計画に違背することになるのか。その他、おおむね二千五百メートルに含まれる最長及び最短の長さを明らかにされたい。
(2) 公団の認可申請に係る工事実施計画では、空港の用地的制約のため、B滑走路につき三千メートルとせず、二千五百メートルとしたのか。その他、理由を明らかにされたい。

五 新東京国際空港の建設は、我が国を代表する国際空港の建設という国家プロジェクトであり、緊急かつ極めて公共性の高い事業であるとの御答弁であるが、それにもかかわらず、基本計画の指示が、公団法全面施行後五カ月以上も大幅に遅延した経緯について

(1) 基本計画で定めるべき事項を含む公団法施行令の公布施行されたのが、昭和四十一年七月三十日であるが、公団法の全面施行期日である同年七月七日に同時公布施行しなかつた、あるいは、できなかつた理由は何か。急いではいなかつたのか。
(2) 公団の設立も右七月三十日となつた理由は何か。急いでいなかつたのか。
(3) 基本計画の指示が、公団法全面施行後五カ月以上も大幅に遅延した理由は何か。急いでいたのではなかつたのか。
(4) 基本計画の作成を担当したのは、当時の運輸省航空局参事官か。その他、作成を所管した事務局を部課のレベルで明らかにされたい。
(5) 基本計画に反映させるべき程度の政府の航空政策は、同年七月四日付閣議決定「新東京国際空港の位置及び規模について」の前提として存在していたのではないのか。存在していなかつたのであれば、それが存在するに至つた年月日を明らかにされたい。
(6) 昭和四十一年十二月十二日付基本計画のうち、1から5まであるがどの項の決定に、どのように手間どつたのか、具体的に明らかにされたい。

  右質問する。