質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

新東京国際空港公団法第二十四条の規定による業務方法書の認可等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年三月十五日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   新東京国際空港公団法第二十四条の規定による業務方法書の認可等に関する質問主意書

 昭和五十七年二月五日付内閣答弁書(内閣参質九五第一一号)を賜つたところであるが、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)に認可された業務方法書に関する御答弁につき、なお不明確・不十分な点が残されていると思料されるが故、更に質問内容を進展させ、また新たな問題も追加して、改めて、運輸大臣の御見解を以下承りたい。

一 公団法第二十四条の立法の趣旨につき、業務遂行に当たり遵守されるべき公団業務に関する基本的な規則であるという業務方法書の性格にかんがみ設けられた規定であるとの御答弁であるが、

(1) 業務遂行に当たり遵守されるべき公団業務に関する基本的な規則をことあらためて制定させることが、何故必要なのか。
(2) また、右制定を法律によつて義務づけることが、何故必要なのか。
(3) 公団業務の範囲を規定した公団法第二十条は、その第一項において、同法第一条の目的を達成するため行われるべき業務内容を規定し、また、これら業務が効率的に遂行されるべきことを同法第一条は規定している。とすれば、業務方法書は、この業務遂行の効率性(適正かつ合理的であること)の内容を方法論として具体的に規定すべきものではないのか。その御見解を承りたい。
(4) 公団法第一条にいう業務遂行の効率性は、技術的なもののみならず経済的なものまで含められているのではないのか。理由を付して明らかにされたい。
(5) 業務方法書の認可及び変更認可、また業務方法書に記載すべき事項を運輸省令で定めるに当たつても、大蔵大臣との協議を義務づけた公団法第三十九条の立法の趣旨は何か。基本計画を定めるに当たつての大蔵大臣との協議だけでは不十分とした理由もあわせて明らかにされたい。
(6) 右協議に応じる大蔵大臣の担当事務局は、大蔵省主計局か。その他、右協議を所管する事務局を部課のレベルで明らかにされたい。
(7) 公団法第二十六条の規定する事業計画、予算及び資金計画の公団による作成は、業務方法書により規定されるべきものなのか。その他、右事業計画、予算及び資金計画のそれぞれの作成と業務方法書との関係を明らかにされたい。
(8) 公団法第二十六条の規定による事業計画、予算及び資金計画の運輸大臣による認可及びそのための同法第三十九条の規定による大蔵大臣との協議において、認可されている業務方法書は、いかなる意義・役割を有するのか。

二 業務方法書と公団法第二十三条に規定される政令で定める基準とについて

(1) 業務方法書と右政令で定める基準とは、その内容においてどういう関係に立つことになるのか、機能施設及び利便施設の建設及び管理に係る各業務につき、それぞれ明らかにされたい。
(2) 公団は、公団法第二十条第二項第一号に規定される利便施設の建設及び管理に係る業務のうち、建設業務を右政令で定める基準(設置基準)に従わずに行つているのではないのか。即ち、公団は当初から現在に至るまで長年月にわたつて、公然と公団法第二十三条に違背してその業務を行つてきているのではないのか。
(3) 利便施設の建設業務に係る右政令で定める基準の制定について、運輸省ないし政府に対し公団から繰り返し要請されたことがあれば、その要請に係る年月日について説明されたい。
(4) 右利便施設の建設業務について、現在までに二重投資ないしやり直し工事が行われたことがあれば、その理由及び必要経費増等について説明されたい。
(5) 利便施設の建設業務に係る右政令で定める基準の不存在について、行政管理庁ないし会計検査院から指摘を受けたことがあれば、その内容等について説明されたい。

三 公団法施行規則第二条第一項の規定によれば、

(1) 公団法第二十条第一項第四号(騒音対策)の業務は、これまた公団法第一条の目的を達成するために必要不可欠の業務でありながら、業務方法書の対象外となつている理由は何か。
(2) それにもかかわらず、公団の余力の範囲でしか処理する必要のない公団法第二十条第二項第一号及び第二号について、業務方法書の対象とした理由は何か。
(3) ところで、業務方法書に関する規定(公団法第二十四条)が存在する場合としない場合とで、公団の業務遂行の態様にどのような変化・相違があらわれるのか、具体的に明らかにされたい。
(4) さて、新東京国際空港の建設は、我が国を代表する国際空港の建設という国家プロジェクトであり、緊急かつ極めて公共性の高い事業であるとの御答弁であるが、それならば、業務方法書に記載すべき事項等を定めた公団法施行規則の制定が、昭和四十一年七月七日に全面施行された公団法に比べ、同年十二月七日と大幅に遅延した理由は何か。
(5) 公団法全面施行時までに、同法施行規則が制定・公布できるよう、何故、運輸大臣はあらゆる可能性を想定して準備万端の用意をととのえておかなかつたのか。

四 航空法第五十五条の当の規定により、公団は、基本計画に基づいて工事実施計画を作成しなければならないとされているが、基本計画及び工事実施計画と業務方法書との関係については、法律上このように定めた規定はないとの御答弁であるが、

(1) 航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画の作成は、公団法第二十条第一項第一号及び第二号に規定される業務ではないのか。
(2) 公団法第二十二条は、同法第二十条第一項第一号及び第二号の業務については、同法第二十一条の基本計画に従い、かつ、航空法で定めるところにより、これを行わねばならないと規定する。そこで、公団法第二十条第一項第一号及び第二号の業務であつて、そのうち同法第二十一条の基本計画に従い、かつ、航空法で定めるところにより行わねばならない業務内容を、航空法の規定ごとに説明されたい。
(3) 業務方法書が、公団法第二十条第一項第一号及び第二号の業務に関する基本的な規則を含み、かつ、公団が右業務遂行に当たり、これを遵守すべきものであるならば、航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画の作成は、業務方法書に依拠し、ないしは、これをしんしやくして行われなければならないのではないのか、理由を付して明らかにされたい。
(4) したがつて、工事実施計画の作成の前提として、業務方法書の作成及び認可が必要となるのではないのか、理由を付して明らかにされたい。
(5) 御答弁にあるように、工事実施計画と業務方法書との関係を直接定めた法律上の規定は確かにないが、しかし、法律条文構成上、工事実施計画の作成に先立つて、業務方法書の作成・認可が必要となるのではないのか。
(6) 業務方法書の作成・認可と工事実施計画の作成とが、まつたく独立であるというのであれば、その理由を法律条文構成上の根拠を示して、具体的に明らかにされたい。

五 業務方法書の昭和四十九年七月二十五日付変更認可について、公団の規程で廃止すべきものがあつたことに関連し、当該規程を引用する部分を改正したとの御答弁であるが、

(1) 廃止された公団の規程とは、新東京国際空港航空機給油施設の建設及び管理規程のことか。その他廃止された規程のすべてを明らかにされたい。
(2) 右新東京国際空港航空機給油施設の建設及び管理規程を廃止した年月日とその理由を明らかにされたい。

  右質問する。