質問主意書

第95回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質九五第一四号

  昭和五十六年十二月四日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員藤原房雄君提出自閉症児の対策と療育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員藤原房雄君提出自閉症児の対策と療育に関する質問に対する答弁書

一について

 自閉症については、昭和四十六年度から厚生省の「心身障害研究費」による研究(以下「心身障害研究」という。)において取り上げ、その原因究明及び診断・治療方法の確立等に努めているところである。
 昭和五十三年度の研究においては、自閉症診断のための手引き(試案)が取りまとめられ、昭和五十四年度及び昭和五十五年度においても、児童精神医学的立場からの臨床研究や心理学的立場からの治療方法の研究、CTスキャナーを用いた脳の形態学的研究等が進められたが、これらの研究等にもかかわらずいまだ十分なものとはいえない段階にあるため、今後とも自閉症に係る研究の推進を図つていく考えである。

二について

 自閉症児を含め情緒に障害がある児童・生徒については、小学校及び中学校において必要に応じて特殊学級を設けて教育を行うこととしている。
 これらの児童・生徒に対する教育条件の充実を図るため、昭和五十五年には公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正が行われ、昭和六十六年度までに公立の小学校及び中学校の特殊学級の学級編制の標準が十二人から十人に引き下げられることとなつている。

三について

 自閉症児施設については、昭和五十六年十二月一日現在、施設数は六箇所、入所定員は三百名であるが、今後とも必要に応じ施設の整備に努めてまいりたい。
 また、成人を対象とした療育施設の設置については、年長化に伴う自閉症の症状の変化、成人向けの特別な療育方法等について研究する必要があるので、現在、心身障害研究により「年長自閉症児の処遇に関する研究」等を行つているところであり、この研究結果を踏まえて検討することとしている。

四について

 児童精神医療の分野における研究の重要性については十分認識しており、国立精神衛生研究所においても児童精神衛生部を設け、専門的研究に取り組んでいるところであるが、今後ともこの分野における研究の推進に努めてまいりたい。
 なお、小児精神科を新たに標榜科目として設けることについては、関係学会等の意見を聴きながら検討いたしたい。