質問主意書

第95回国会(臨時会)

答弁書


第九十五回国会答弁書第一一号

内閣参質九五第一一号

  昭和五十七年二月五日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出航空法等の運用の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出航空法等の運用の実態に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 昭和四十一年十二月十二日に指示された基本計画は、その後変更されていない。
(2)及び(3) 新東京国際空港は、新東京国際空港公団法(以下「公団法」という。)第二条の規定に基づき、同条各号に掲げる要件を備えるものとして設置されるものであるので、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)の業務のうち特に基本的なものについては、政府の航空政策に沿つて実施される必要があり、このため、基本計画に定めるべき事項の一つとして空港及び航空保安施設の工事完成の予定期限を規定しているところである。
 基本計画における工事完成の予定期限は、一定の期限までに空港等を完成させることを目標に工事を進めるべき旨の指示として公団に示されるものであり、その具体的計画である工事実施計画に定める工事の完成の予定期日がこれと異なることもあり得る。

二について

(1)から(3)まで 航空法第五十五条の三の規定により、公団は、基本計画に基づいて工事実施計画を作成しなければならないとされているが、基本計画及び工事実施計画と業務方法書との関係については、法律上このように定めた規定はない。
(4) 公団の業務は、公団成立の日である昭和四十一年七月三十日に開始された。
(5) 業務方法書は、公団の業務に関する基本的な規則であり、公団は、その業務の遂行に当たつては、これを遵守すべきものである。公団法第二十四条は、業務方法書のこのような性格にかんがみ、設けられた規定である。
(6) 公団法第二十四条第一項後段の規定に基づく業務方法書の変更認可の経緯は、次のとおりである。

図 表

三について

(1) 公団の資本金は、昭和五十五事業年度末で九百二十六億五千六百万円であるが、公団法第五条において、政府は、予算で定める金額の範囲内において追加して出資できること等と規定されており、今後政府が追加して出資できる金額については、毎年度の国の予算が決定された段階で定まることになる。
(2)から(5)まで 新東京国際空港の建設は、我が国を代表する国際空港の建設という国家プロジェクト、であり、緊急かつ極めて公共性の高い事業であること、新東京国際空港は、我が国最大の施設規模を有し、その建設資金は膨大であり、かつ、長期の回収期間を必要とすること等の理由により、その建設を円滑に遂行する必要があると考えて、政府は、毎事業年度追加して出資してきたものである。
 以上のことから、公団の運営により生ずる各事業年度の欠損金に相当する金額を翌事業年度の出資金とすることも、また、出資金に代えて政府から公団への補助金とすることも適当でないと考えられる。
(6) 日本国有鉄道に対する助成措置は、極度に悪化している日本国有鉄道の経営状況にかんがみ、その経営負担の軽減を図るため行つているものであつて、資本の追加を目的としているものではない。
(7) 公団法第二十九条に規定する長期借入金及び新東京国際空港債券(以下「債券」という。)の額は、公団の事業の進捗状況、経営状況、資金状況等を踏まえて、毎事業年度の公団の予算において定められ、公団は、運輸大臣の認可を受けて借入れをし、又は債券を発行している。
(8) 長期負債と資本金との関係については、公団法及びこれに基づく命令上特に定めた規定はない。

四について

(1) 昭和五十一年十一月二十五日認可後の工事実施計画変更認可の経緯は、次のとおりである。

(一) 新東京国際空港工事実施計画変更認可の経緯

図 表 2/1

図 表 2/2

(二) 航空保安無線施設工事実施計画変更認可の経緯

図 表

(三) 航空灯火工事実施計画変更認可の経緯

図 表

(2) 新東京国際空港及び航空保安無線施設について、A(1)とは、それぞれA滑走路の当面の運用に必要な諸施設及び航空保安無線施設を、A(2)とは、それぞれA滑走路の長さ四千メートルでの運用に必要な諸施設及び航空保安無線施設をいい、このように分けた理由は、A滑走路南側の航空保安施設予定地について、空港建設の反対運動等により必要な用地の確保が遅れていることによるものである。
 航空灯火について、A(1)とは、A滑走路の当面の運用に必要な航空灯火を、A(2)とは、A滑走路の長さ四千メートルでの運用に必要な航空灯火(A(3)に該当するものを除く。)を、A(3)とは、A滑走路の長さ四千メートルでの運用に必要な航空灯火であつてカテゴリー二精密進入方式に対応するものをいい、このように分けた理由は、A滑走路南側の航空保安施設予定地について、空港建設の反対運動等により必要な用地の確保が遅れていること等によるものである。
(3)(イ)から(ロ)まで 航空法施行規則第七十七条においては、実測図に予定する飛行場の施設の位置を明示することが規定されているが、工事の完成の予定期日が異なるものについて、その境界を明示することは規定されておらず、したがつて、実測図には御指摘のような境界は明示されていない。
   (ニ) 工事実施計画の認可申請又はその変更認可申請に当たり、飛行場の施設については、その概要又は変更しようとする事項を示すこととされており、工事の完成の予定期日の異なるものの境界を明示することは規定されていない。