第94回国会(常会)
答弁書第二号
内閣参質九四第二号 昭和五十六年一月二十七日 内閣総理大臣 鈴木 善幸
参議院議員黒柳明君提出武器輸出規制等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員黒柳明君提出武器輸出規制等に関する質問に対する答弁書 一について 「武器」という用語は、武器輸出三原則及び自衛隊法のそれぞれの趣旨に沿つて定義されるものであり、両者の定義が同義でなければならないことはないと考えている。
二について 輸出貿易管理令の武器輸出規制は、当該貨物の形状、属性等から軍隊が使用するものであつて直接戦闘の用に供されるものと客観的に判断できるものを規制対象とすることが合理的であると考えられる。汎用品については、輸出の段階において当該貨物が輸出後仕向地で実際に何に用いられるかを客観的に判断することは極めて困難であるため、輸出規制の公正さ及び実効性の観点から規制対象とすることは適当でないと考えられる。 三について 武器の輸出については、輸出貿易管理令の規定に基づき、通商産業大臣の承認に係らしめており、この承認の審査に当たつては、武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき厳格に判断することとしているとともに、また、通関時においても承認の有無等について税関が確認することとなつている。
四について 武器の製造等に係る技術の輸出については、武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に準じて対処しているところであり、また、武器の専用部分品の輸出についても厳格に対処しているところである。 五について 軍事施設の建設には病院、宿舎、道路の建設等いろいろな態様があり、民間と共同使用の施設もある。したがつて、工事請負契約について外国の軍事施設の建設に係るものがあるからといつて直ちに規制することは適当ではない。かかる建設工事の請負の中に、武器技術の提供又は武器及び武器製造関連設備の輸出が含まれる場合には、その部分については、武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき厳格に判断することとしている。 六について 我が国の武器輸出に関する政策については、これまでも内外に言明してきており、また必要に応じて諸外国に個別に説明の上、その理解を得るよう努めてきている。
七について 株式会社堀田ハガネが韓国に武器の部分品の疑いのある貨物を輸出した件については、現在関係各省において、関係者からの事情聴取、外国為替及び外国貿易管理法に基づく報告の徴収を行う等実態の把握に努めているところである。
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