質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

アルミ産業の位置づけに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年五月六日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   アルミ産業の位置づけに関する質問主意書

 わが国のアルミ産業の置かれている現況は深刻であり、将来展望を含めて楽観できる材料は何一つ見いだせないのが実態であろう。通商産業省は、産業構造審議会のアルミニウム部会に新たな答申を求め、きたる七月頃にはかなり広い範囲にわたる対策を打ち出す方針と聞いている。よつて次の各項について政府側の適切な対応、見解を明示して頂きたい。

一 去る昭和五十三年の答申以来守られている百十万トン体制を単に下方修正するだけでは対策にはなるまい。本問題のポイントは、「戦略産業としての側面を持つアルミ産業の基本的な位置づけ」にあるのではないか。基本的に如何。

二 戦略備蓄や安全保障上の見地からするわが国アルミ生産のミニマムな水準をどの程度と考えるか。

三 輸入地金、開発輸入地金、国産の三部門それぞれに対する検討のうち、まず年間三十万トンを超えたアメリカからの地金輸入については、今後の抑制等について政府として対米交渉ないし協議の考えはあり得ないのか。

四 業界としては、日本アルミニウム連盟をはじめ労組側(全日本アルミニウム産業労働組合協議会)も去る四月アメリカに代表団を送り個別の要請行動を行つたが、今月はワシントンで開かれるIMF世界大会に向けて第二陣を派遣して懸命の工作を続けている。政府としては、どのような手段をつくしているのか。またその反応と予測は如何。

五 アルミ問題についての焦点の一つは、日米間の技術格差ではなくコスト差にある。わが国のアルミ業界が立ち直れるまでの例えば三カ年間に限つて九電力からの送電料金について特定レートを適用することは不可能であろうか。

六 輸入地金への対策として関税割り当て制度の導入についての見解は如何。

七 国産地金の引き取り保証制度の創設は財政の裏づけを含めて可能であるのか。

八 アルミ産業構造改善協会に積み立てられている構造改善資金を、この際アルミ製錬各社に対して交付する措置については検討の余地があり得るか。

九 去る一月末、通商産業省は、約一万五千トンのアルミ地金の在庫品を買上げるなど一種の緊急対策を実行した。今年度の措置として年度分の備蓄買い上げの前倒しは考えられないか。

十 将来の方向として(昭和六十年)、アルミ業界は国産で内需の四〇%をまかない残りの六〇%を輸入と開発輸入で折半する構成比率を希望しているようだが、これについては基本的にどのように受けとめるか。

十一 現在国内で製品化されているアルミ塊の三〇%近くは再生塊であるが、今後不可欠の施策の一つとしてアルミニウム・リサイクリング・システムの一層の徹底改善と再生技術の向上が望まれている。政府としての対策と素案は如何。

  右質問する。