質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

防衛関係費の国際的共通性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年五月六日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   防衛関係費の国際的共通性に関する質問主意書

 防衛関係費を論ずる場合の定型は、「GNPの一%論」がもつぱらである。確かにGNP比一%以内は、防衛計画の大綱等と並んだ国民合意の眼目ではあろう。しかし、昨今の傾向は国際的な対日圧力の主因としてこのGNPの一%以内は防衛努力の過少としてイメージされている。ところが皮肉にも防衛関係費についての国際的な合意や基準は形成されていない。アメリカともそうであるし、NATO諸国の積算の範囲とも共通性がない。つまり国際的に防衛関係費を比較する場合の基準と範囲が設定されないままで、たとえば日米二国間協議が行われるという不可解さが永年放置されている。政府は、この際「防衛関係費の国際的共通性」について留意すべきではないのか。
 よつて次の項目について政府の見解を明らかにして頂きたい。

一 まず日米の防衛関係費を共通させるべきではないか。またアメリカ国防総省の基準による国防予算の範囲は如何。

二 軍人恩給等を防衛関係費ないし軍事費として積算している国は多い。NATO方式ではそうではないのか。

三 沿岸警備隊関係の費用についても防衛費に含む国が一般的ではないか。

四 日本の場合、(昭和五十五年度)恩給関係費のうち文官等恩給費を除く旧軍人関係は一兆三五二九億円、遺族及び留守家族等援護費は一四六九億円、両者の合計は一兆四九九八億円で対GNP比では〇・六%に当たる。
 また海上保安庁の経費は一一二八億円、対GNP比で〇・〇五%になる。したがつて恩給等の金額と海上保安庁関係を積算すると一兆六一二六億円、対GNP比は〇・六五%。これに狭義の防衛費を合わせると三兆八四三〇億円、対GNP比は一・五五%となる。国際比較といい、共通性を論ずる場合は少なくともこの尺度・基準を適用すべきではないのか。

五 海上保安庁関係費を含めないとしても少なくとも軍人恩給費は防衛費に積算すべきではあるまいか。

  右質問する。