第94回国会(常会)
質問第七号
土地収用法等の解釈に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十六年二月二十三日 秦 豊
土地収用法等の解釈に関する質問主意書 先に、「公共用地の取得に関する特別措置法の解釈に関する質問主意書」を提出し、千葉県収用委員会が、昭和四十六年六月十二日付で行つた緊急裁決(千収委第七一号、同七二号、同七三号)に係る事項に関し内閣答弁書(内閣参質九四第一号)を賜つたところであるが、同緊急裁決に関し本年二月十八日に千葉地方裁判所で行われた但馬弘衛千葉県収用委員会会長の貴重な御証言に鑑み、土地収用法及び公共用地の取得に関する特別措置法(以下「特措法」という。)の関連条項の解釈について、両法を所管する斉藤滋与史建設大臣の御見解を、以下、賜りたい。
一 却下の裁決に関し規定する土地収用法第四十七条第二号は、特定公共事業については特措法第十九条の規定によつて読み替えられねばならないが、右緊急裁決にあたり千葉県収用委員会はこれを怠つたという。この懈怠は、千葉県収用委員会が、昭和五十四年三月三十一日付で建設大臣に提出した弁明書(千収委第四二号)の「(本案の弁明)4弁明の理由(2)請求人の主張に対する反論イ昭和五十三年十二月二十日付補充書に対する反論(ウ)事業の同一性について」の中でも実質的に明らかにされている。 (1) 特措法第十九条の規定は、効力規定か訓示規定かその他如何なる内容の規定か説明されたい。
二 右証言において但馬会長は、緊急裁決の要件として特措法第二十条第一項に規定する「特定公共事業に係る明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある場合」について、昭和三十六年八月二十九日付建設事務次官通知(建設省発計第五〇号)にいう「緊急裁決の申立てがあつたときは、これらの要件に該当するものであるかどうかを具体的に審理したうえ慎重に処理されたい」に従つて解釈運用されねばならないと認められたうえで、右緊急裁決にあたり、航空燃料輸送パイプラインの完成工期等につき具体的に審理検討することなく、運輸省・新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)の主張をうのみにしてしまつたと苦渋に満ちた態度で陳述されていると聞く。
三 特措法第二十条第二項の規定により、緊急裁決の申立ては同法施行規則別記様式第三に規定する書面でしなければならないが、右証言において但馬会長は、右緊急裁決に係る申立てが同様式の必要的記載事項である「緊急裁決を申立てる理由」の記載を欠き、違法な申立てであつたことを認められたうえで、右瑕疵については審理の場で補正されているので、緊急裁決の効力には影響がないと苦渋に満ちた態度で陳述されていると聞く。 (1) 特措法第二十条第二項は効力規定か訓示規定かその他如何なる内容を有する規定か説明されたい。
四 特措法第二十一条第一項は、緊急裁決の内容について、損失の補償をすべきものと認められるにかかわらず、補償の方法又は金額について審理を尽くしていないものについては、概算見積りによる仮補償金を定めねばならないと規定する。したがつて、損失補償額について確定しているものにまで、特措法第二十条第一項は緊急裁決権行使を認めてはいないことになる。しかし、右証言において但馬会長は、土地に関する損失の補償額については、土地収用法第七十一条に規定する事業認定時価格として、起業者見積りの地目別統一価格を妥当な価格と決定していたので、確定したものであつたと認められたうえで、それにもかかわらず、右緊急裁決においては、土地に関する損失補償価格を概算見積りによる仮補償金としてしまつたと苦渋に満ちた態度で陳述されていると聞く。 (1) 特措法第二十条第一項は、損失の補償に関するものですでに審理を尽くしているものにまで、これを概算見積りによる仮補償金として緊急裁決する権限を当該収用委員会に付与しているのか。
右質問する。 |