質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

千葉県通信工事協同組合の日本電信電話公社工事参加申請に対し、同公社がとつた行為と閣議決定による「中小企業者に関する国等の契約の方針」についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年二月十八日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   千葉県通信工事協同組合の日本電信電話公社工事参加申請に対し、同公社がとつた行為と閣議決定による「中小企業者に関する国等の契約の方針」についての質問主意書

 千葉県通信工事協同組合(以下「協同組合」という。)は、千葉県内における日本電信電話公社(以下「電々公社」という。)工事に携わる一部の下請工事業者が、元請業者の不適正な取り扱いに対処するため結成し、昭和五十三年一月二十七日付千葉県知事の認可を受け、同年二月三日設立登記を完了し、中小企業等協同組合法にのつとつた事業活動を開始した。その後、関係上部団体等の指導により、昭和五十四年三月十八日付東京通商産業局長より、官公需適格組合証明を受け、電々公社が発注する通信工事の直接受注のための交渉を行つた。しかるに電々公社は、当協同組合が下請業者であるため、直接交渉の立場にないとして、元請業者に対し、元請、下請間の問題として解決するように指示し、直接交渉を拒否した。
 同協同組合は、昭和五十五年四月が電々公社の認定業者資格審査申請の時期であるため、同年四月二十八日資格審査申請書を提出したが、翌二十九日に電々公社は、書類の不備を指摘して訂正を命じ、提出期日の同月三十日を厳守するよう指示し、訂正中の猶予期間を認めないとの態度に出た。
 訂正期間中さきに提出した書類の写しを提出し、訂正した書類が提出されるまで保管されるよう懇願したのであるが、それも返送して全面拒否の姿勢を示し、中小企業に対する電々公社の発注する請負工事の直接受注の機会が与えられてないように思われる。
 他方、元請負会社は、個別に協同組合員に種々の方法により圧力を加え、組合脱退を迫るなど組合の弱体化をはかり、そのために昭和五十五年三月末日の組合員数は、設立当初に比較して半減し、同協同組合の存立も危ぶまれる状況に達している。
 このようなことから、同協同組合は、電々公社総裁に対し、昭和五十五年七月九日付にて質問状を提出し、中小企業等協同組合法にのつとつた協同組合に対する考え方と、処遇、官公需適格組合として証明された組合に対する工事指名参加を認める意志の有無をただし、閣議決定による「中小企業者に関する国等の契約の方針」にのつとつた、工事指名の決意を促し、回答を求めたのであるが、質問にそつた回答をせず、一般論的回答をしたにすぎず、その後再三にわたる質問に対しても回答せず今日に至つている。これは明らかに閣議決定の方針を無視するものと思料されるが、それのみにとどまらず、更に元請業者に同協同組合の解散をはかるよう指示したとみられる行動があつたやに聞く。即ち、電々公社関東電気通信局調査役が、先に脱退した組合員を通じて同協同組合を誹謗する行為もあつたやに聞く。元請業者はこれに呼応し、同協同組合が組合員の減少、それに伴う事業活動の不振等から経済的に窮乏したことにつけ入り、組合の解散を前提に金銭の貸し付けを行おうとしている。組合員の経済上の改善と地位の向上を目的に発足した協同組合が、その関連法規の援助を受けられず、窮乏した協同組合を各組合員の負債によつて解散させられることが国の機関である電々公社の下請業者で行われようとしている事実があるやに聞くが、この事に関し、左記質問事項につき、関連各大臣の御所見を鈴木総理大臣の責任において御答弁をお願いする。

一 協同組合の参加申請が期日前に一度提出され、訂正を指示した事実がありながら、訂正までの期間猶予を認めず、訂正されて提出されたものまで受け取りを拒否し、内容証明郵便で返送した理由は何か、その法的根拠を示されたい。

二 電々公社が行つている請負工事認定制度に係る規則及びその判定資料は何か、その内容を具体的に示されたい。

三 閣議決定による政府の方針に対し、電々公社がとつた行為をどのように思料されるか。

四 電々公社が行つている工事参加資格者の認定の現状は、独占禁止法上問題はないのか。

五 電々公社の認定業者の数、社名及び昭和五十四年度にこれらの業者に発注した件数及び金額を具体的に示されたい。

六 電々公社が発注する工事で、官公需適格組合に発注した工事が、昭和五十四年度以前にあつたか、あつたとすれば具体的にその内容を示されたい。

七 今後、電々公社が発注する工事に際し、閣議決定による「中小企業者に関する国等の契約の方針」にそつて官公需適格組合を育成し、工事請負の機会を与える意志があるかどうか。

八 協同組合は、電々公社認定業者の下請の形ではあれ、既に電々公社の発注する工事の経験者であり、これを専業としている組合員で構成されている。
 これらの経験により、電々公社から直接受注する事も可能だと思料するし、電々公社としても官公需適格組合に直接発注をする努力こそが育成の道を思料されるがどうか。

  右質問する。