質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

公共用地の取得に関する特別措置法の解釈に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年一月六日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   公共用地の取得に関する特別措置法の解釈に関する質問主意書

 先に「成田空港二期用地に係る権利取得裁決などを千葉県収用委員会が行わないことにある合法性・正当性」に関し、質問主意書を二度にわたり提出し、御答弁(内閣参質八七第六号・同第一三号)を賜つたところであるが、「緊急裁決を申し立てる理由」の記載のない緊急裁決申立書の取り扱いに関し、御答弁に不明確な点が残されていると思料されるがゆえ、改めて、鈴木善幸首相の御答弁を以下により賜りたい。

一 「緊急裁決を申し立てる理由」の記載のない緊急裁決申立書を受理するのは、法の誠実な執行とはいえないのではないかとの質問に対し、緊急裁決の効力には影響を及ぼさないとの御答弁を賜つた。

(1) 緊急裁決の効力には影響を及ぼさないとは、緊急裁決は違法処分であるが、しかし、効力には影響を及ぼさないという趣旨なのか、それとも、緊急裁決は違法処分ではないから、したがつて、効力には影響を及ぼさないという趣旨なのか、どちらか。
(2) 右において、緊急裁決が違法処分であるが、効力には影響を及ぼさないというのであれば、その理由(合理的な根拠)を示されたい。
(3) (1)において、緊急裁決が違法処分でないから、効力に影響を及ぼさないというのであれば、

(ア) 逆に、効力に影響を及ぼさない行政処分であるかぎり、それは誠実な法の執行になるというのか。とすれば、その理由を示されたい。
(イ) 御答弁を「効力には影響を及ぼさない」とされるのではなく、「緊急裁決は違法処分にはならない」と答弁されなかつた理由を示されたい。

(4) 国会法第七十五条第二項についても、憲法第七十三条第一号及び内閣法第一条の規定により、内閣はその条項を誠実に執行する義務を負うのではないのか。
(5) 千葉県収用委員会が、新東京国際空港公団提出に係る「緊急裁決を申し立てる理由」の記載のない緊急裁決申立書を受理し、昭和四十六年六月十二日付で緊急裁決を行つたのは、千葉県収用委員会が公共用地の取得に関する特別措置法令に違反してその事務を処理したことにはならないのか。とすれば、その理由を示されたい。

二 緊急裁決の申し立てについて

(1) 緊急裁決の申し立てを口頭で行つていた場合、緊急裁決は違法処分となるのか、また無効となるのか。それぞれに理由を付して説明されたい。
(2) 公共用地の取得に関する特別措置法施行規則第四条で規定される緊急裁決申立書の様式のうち、少なくとも何を欠いていたら、緊急裁決は違法処分となるのか、また無効となるのか。それぞれに理由を付して説明されたい。

三 国会法第七十五条第二項の規定によれば、内閣は質問主意書を受け取つた日から原則として七日以内に答弁することが義務づけられている。本質問主意書については、事実関係については何ら問題とするところはなく、単にすでに執行されている法令の解釈についての、いわば、再質問にすぎないのであるから、所定の七日以上の日時をかけて検討するほどのものではないと思料される。よつて、本質問主意書の答弁期限が七日以上に延長される場合には、その答弁期間を相当期間とするに足りる合理的な根拠を示されたい。

  右質問する。