答弁書第四号
内閣参質九三第四号
昭和五十五年十一月二十五日
内閣総理大臣 鈴木 善幸
参議院議長 徳永 正利 殿
参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県における国際児(混血児)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県における国際児(混血児)に関する質問に対する答弁書
一について
日本に遺棄された妻子が扶養義務を履行しない米国人父親から強制的に扶養料の支払を受けるためには、米国の裁判所において米国人父親に扶養料の支払を命ずる裁判を得て、これにより強制執行をする方法が考えられる。
なお、右の父親が在日中に我が国の裁判所で扶養料の支払を命ずる裁判を受けているときは、米国の裁判所は、原則として、その裁判がされたことを理由として直ちに扶養料の支払を命ずる裁判を行うようであり、右の妻子は、これにより強制執行をすることができる。
日本に遺棄された妻子が米国人父親を相手に扶養料の請求を行うに際し、連絡の取れていない父親の所在等の調査を希望するのであれば、外交ルートを通じ、できる限り、側面的に協力を行う所存である。
二について
御指摘の点は、主に母子家庭についての問題と考えており、特別の基金を設けることは、考えていない。
母子家庭については、児童扶養手当制度、母子福祉資金貸付制度等の施策があり、今後とも、その改善を図ることにより対処してまいりたい。
三について
(1) 沖繩県内に在留する無国籍者で外国人登録を行つている者は、昭和五十五年六月末日現在七十三名である。
なお、法務省入国管理局の記録によれば、右七十三名のうち二十歳未満の者は、米国系二十三名、中国系二十二名、その他四名の計四十九名となつている。
(2) 日本国民を母とする無国籍児発生の防止あるいは本年七月政府が署名したいわゆる婦人差別撤廃条約第九条との関係等を考慮し、国籍法の改正(父母両系主義の採用等)に関しては、既に資料収集に着手する等検討を開始しているところである。しかし、この国籍法の改正に関しては、特に二重国籍者の増加という問題があり、諸外国における国籍立法の動向、最近父母両系主義に改正した諸国における解釈、運用等を十分勘案するとともに、改正した場合における近隣諸国との関係、国内で生ずるであろう諸問題について十分に配慮する必要があるので、慎重に対処したい。
四について
那覇地方法務局において、本年に入つてから各地において延べ六日にわたり、帰化に関する相談会を設ける等帰化手続の説明に努めているところである。今後とも機会あるごとに帰化手続の説明に努めたいと考えている。
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