質問主意書

第93回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

沿道環境対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年十一月十二日

二宮 文造   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   沿道環境対策に関する質問主意書

 自動車交通量の増大に伴い、幹線道路の沿道地域における騒音、振動、排気ガス等の公害対策が深刻な社会問題となつている。特に都市高速道路の周辺は、密集地域に加え、高架施設からの公害放散のため苦情が激増しており、きめ細かな環境整備が急がれている。
 よつて、沿道環境対策を中心に、以下の諸点について質問する。

一 環境アセスメントについて

(1) 近時の大規模開発事業が自然環境、生活環境に及ぼす影響を考えるとき、体系的な環境アセスメント制度の早期確立が要請される。然るに「環境影響評価法案」(仮称)が、内閣総理大臣のたび重なる国会答弁にも拘らず、未だ国会提出に至らない理由は何か。
(2) 環境アセスメントの法体系が整備されるまでの間、開発事業に係る環境保全に関し、どのような行政措置が講じられているか。
(3) 道路事業において、現実に環境アセスメントを実施した事例はあるか。また、環境アセスメントの結果の取り扱いはどうか。

二 自動車の「総量規制」について

(1) いわゆる「総量規制」の方向が交通公害問題懇談会(前環境庁長官の諮問機関)で提起され、現在、中央公害対策審議会において、総合的交通公害対策の一環として検討されているが、「総量規制」は、関係する省庁も多く、また、経済界に与える影響も大きいと予想されるが、その動向について、どう把握しているか。
(2) 個別発生源対策の限界を踏まえ、道路公害の抜本策とされる「総量規制」に関し、政府自らの基本的認識はどうか。

三 道路交通騒音対策の推進体制について

(1) 現行の道路交通騒音対策は、自動車構造の改善、道路構造の改善、交通規制及び取り締まりの強化、沿道における環境保全対策等に大別される。これらの対策は、各省庁にまたがるため、相互の連けいと総合性を欠くとの指摘があるが、現行の道路交通騒音対策の推進体制はどうか。
(2) それぞれの対策の実施状況はどうか。また、それらによる道路交通騒音の防止効果をどのように分析しているか。

四 道路交通騒音の現状について

(1) 道路公害問題で苦情件数が最大と云われる道路交通騒音に関し、どのような実態調査が行われているか。
(2) 公害対策基本法に基づく環境基準、騒音規制法に基づく要請限度を超える道路交通騒音の実情、それらの道路延長及び全道路に占める割合はどうか。
(3) 特に都市高速道路の交通騒音の実情、苦情提起の状況はどうか。

五 都市高速道路の沿道環境対策について

(1) 沿道環境整備要綱により、緩衝建築物の建築費に対する助成、土地区画整理事業における環境施設帯用地の先買い等が制度化されているが、それらの実績はどうか。
(2) 道路構造の改善、遮音壁の設置、環境施設帯の整備等の施行基準及び施行状況はどうか。
(3) 現行の道路構造令は、沿道環境対策の面から再検討が必要ではないか。

六 都市高速道路における住宅騒音対策について

(1) 道路区域外の交通騒音対策として、沿道周辺住宅に対する防音工事の助成があるが、それらの適用基準、助成内容、施行状況及び騒音低減効果はどうか。
(2) 建設省通達「高速自動車国道等の周辺における自動車騒音に係る障害の防止について」は、自動車が法定速度を超えて騒音をもたらす場合を除外するとしているが、これでは実態と大きく乖離するばかりか、通達の趣旨を逸脱することにならないか。
(3) 同通達は適用にあたり「実測値」と「計算値」を併用するとしているが、「趣旨としては実測値を前提とする」旨の国会答弁もある。通達内容について「実測値」を基準とするよう改訂すべきではないか。
(4) 同通達の助成措置は、有料自動車専用道路周辺のみを対象としているが、他の幹線道路周辺においても適用すべきではないか。
(5) 再三、国会で請願審査されている日本住宅公団大島六丁目団地の騒音対策の取り組みはどうか。経過、助成内容、進捗状況について報告願いたい。

  右質問する。