質問主意書

第93回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

国立公園上高地の自然景観保全、災害復旧および災害予防の抜本的対策の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年十月二十九日

村沢 牧   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   国立公園上高地の自然景観保全、災害復旧および災害予防の抜本的対策の推進に関にする質問主意書

 上高地は、わが国を代表する傑出した景勝地であり、中部山岳国立公園の中心的な拠点として国の特別保護地域に指定されている。
 上高地は、昭和五十三年六月および昨年八月の集中豪雨によつて大災害を被り、貴重な景観を失いつつあると共に、周辺ならびに下流の住民に危険を及ぼしている。
 これら災害に対して、政府の関係省庁や長野県において応急措置を講じ、現在災害復旧工事を行つているが、さらに積極的な対策を立てなければ再び災害の発生する恐れがある。
 よつて、関係当局の早急な対策推進方について、次の質問を行う。

一 国立公園内、とくに特別保護地区における災害復旧ならびに災害予防の工事は、自然景観の保全要請とどのように調整され、実施されているか。

二 上高地のシンボル的存在である大正池は、土砂の流入によつて川のように狭くなり景観が改変しているが、原形が保たれるよう復旧すべきではないか。

三 上高地最上流部の治山、治水事業については、昭和三十七年に行われた北陸地方建設局と長野営林局との業務調整協定会議の結果、一時保留となり実施機関が未定となつているので、これを早急に開始すべきではないか。

四 上高地に災害を及ぼす焼岳の噴火は活動度が高く、社会的影響が大きい。したがつて、常時監視体制をとるべきではないか。

五 上高地の保全対策を推進するにあたつて、各省庁が独自の調査等を行つているものの相互間の連係を欠いており、総合的な対策が確立されていない。したがつて政府において、景観保全、災害復旧、災害予防、交通対策等の抜本的な対策を講ずるべきではないか。

六 上高地の総合的な保全対策を講ずるため、政府の関係省庁において早急に現地調査を実施し、今後の対応策について積極的な取り組みを図るよう要請するがどうか。

  右質問する。