第93回国会(臨時会)
質問第三号
成田空港建設事件に係る運輸省・新東京国際空港公団の立入調査に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十五年十月十六日 秦 豊
成田空港建設事件に係る運輸省・新東京国際空港公団の立入調査に関する質問主意書 昭和四十四年十二月十六日付事業認定により収用権(を行使する権能)を新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)名義で得たとする運輸省・空港公団は、土地物件調書作成のためとして、土地収用法第三十五条に規定する土地物件調査権を行使すべく、前後五回にわたり立入調査を行つたと聞く。
一 運輸省・空港公団の立入調査は、昭和四十五年中に四回及び昭和四十八年に一回、合計、五回にわたり行われたが、そもそも土地または物件につき立入調査をしようとはしなかつた、つまり、立入調査が不要とされた収用地点(以下「収用事件番号」で代表する)もあつたし、土地調書または物件調書が作成されていないところもあつたのではないか。 (1) 立入調査を不要とした収用事件番号の全てを挙げ、それぞれ立入調査を不要とした理由を、土地調査及び物件調査の別に示されたい。
二 前後五回にわたる運輸省・空港公団の立入調査につき、各回毎に、[1]立入調査日と計画された年月日、[2]立入調査が行われた年月日、[3]土地調査または物件調査の別に、立入調査を予定した全ての収用事件番号、[4]土地調査または物件調査の別に、立入調査が完了した全ての収用事件番号、[5]立入調査が未完了となつた収用事件番号の全てと立入調査が未完了となつた理由、[6]未完了となつたところのうち、土地物件調書が前記便法により簡略調書で代替されている収用事件番号の全て、[7]立入調査に関し逮捕された者の数、[8]立入調査に関し送検された者の数、[9]立入調査に関し起訴された者の数を罪名毎に、[10]運輸省・空港公団の立入権行使に係る事案で起訴された者の数を示されたい。但し、収用事件番号のないものについては、代表的な土地の所在・地番・旧所有権者名で示されたい。 三 運輸省・空港公団の立入調査権と刑法との関係について (1) 刑法第二百三十四条について (イ) 五回にわたる立入調査は、右条に規定する業務に該当するのではないのか。
(2) 刑法第九十五条第一項について (イ) 運輸省・空港公団の立入調査権に係る立入権行使は、右条項に規定する公務執行ではないのか。
(3) 土地収用法第三十五条第三項で準用される同法第十三条は、正当な理由があれば、運輸省・空港公団の立入権行使を拒みまたは妨げることを容認している。 (イ) 五回にわたる立入調査で未完了とされたところのうち、右「正当な理由」で拒みまたは妨げられたものがあれば、その収用事件番号を全て挙げられたい。
四 梅沢勘一事件及び石井光枝事件について (1) 運輸省・空港公団は、立入調査に係る立入権行使にあたり、当該土地の占有者から立ち入りを拒まれ、または妨げられることを、高度の蓋然性をもつて予見し得たのではなかつたのか。
右質問する。 |