質問主意書

第92回国会(特別会)

答弁書


第九十二回国会答弁書第六号

内閣参質九二第六号

  昭和五十五年十月二十四日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出東北新幹線(東京・大宮間)の建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出東北新幹線(東京・大宮間)の建設に関する質問に対する答弁書

一及び五の(1)について

 工事実施計画については、昭和四十六年十月十二日付け及び昭和四十八年二月七日付けで申請があり、昭和四十六年十月十四日付け及び昭和四十八年二月二十七日付けでそれぞれ認可している。
 工事実施計画の変更については、次のとおり、申請及び認可がなされている。なお、工事の区間は東京・盛岡間である。

二について

図 表 1/2

図 表 2/2

 土地については約九百三十万平方メートル(全体の約九十七パーセント)を取得し、路盤、橋りょう、トンネル等の工事については延長約四百七十キロメートル(全体の約九十四パーセント)について契約を締結し、試運転については昭和五十三年八月八日から昭和五十五年六月六日まで埼玉県北葛飾郡鷲宮町・栃木県下都賀郡石橋町間約四十三キロメートルで行つたほか昭和五十四年十二月十一日から仙台市・北上市間約百十五キロメートルで行つていると聞いている。

三について

 昭和四十六年度から昭和五十五年度までの各年度の東北新幹線の建設に係る予算額及び決算額は、次のとおりである。
 なお、予算及び決算上は御質問の費目別には分かれていない。

四について

図 表

(1) 昭和三十九年度から昭和五十四年度までの各年度の利益積立金又は繰越欠損金及び長期債務残高は、次のとおりである。

図 表 1/2

図 表 2/2

(2) 東北新幹線開業後の収支見通しについては、今後の経済状勢、運賃水準等不確定要素が多く、定量的な予測は困難であるが、開業直後は投資効果が十分に発揮されない一方、資本費の負担が大きく、経過的に赤字になるものと見込まれる。
 また、開業時期を延期した場合には、借入金の利子等の資本費が増大することにより、経過的にそれだけ損益が悪化するものと見込まれる。
 しかし、いずれの場合においても中長期的には収支均衡するものと考えられるので、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の財政再建に支障はないものと考えている。
(3) 大宮・盛岡間を暫定開業した場合にも中長期的には収支均衡するものと考えられるため、上野・盛岡間の開業と同様、国鉄の財政再建に支障はないものと考えられる。
(4) 新東京国際空港の開港に伴う東京国際空港における国内航空便の増便等により、鉄道輸送から航空輸送へ転移した旅客数の具体的なは握は困難であるため、国鉄の財政再建に与える影響を定量的に示すことは困難である。

五の(2)について

(イ)及び(ロ) 関係地方公共団体及び関係地域住民に対し説明会等を通じ理解と協力を得るよう努め、大方の理解を得たと聞いている。
(ハ) 関係地方公共団体及び関係地域住民の理解と協力を得るため鋭意努力するよう、あらゆる機会をとらえて指導してきている。
(ニ) 事業の遂行に重大な支障があると判断した場合には、土地収用法の適用についても検討の余地があると思われるが、現時点においては、関係者の理解と協力を得た上で土地の取得を行うよう指導しているところである。
(ホ) 補償額算定基準時の改正、収用手続の保留制度の創設等により事業に必要な土地等の取得の円滑化が図られることとなつたと聞いている。

六について

(1)及び(3) トンネルの掘削とパイプラインの埋設とではその必要とされる技術が異なるため、技術力の比較は困難である。
 国鉄が新東京国際空港公団から技術を導入する必要性は少ないと聞いている。
(2) 鉄道技術研究所はトンネル技術の分野において多大の貢献をしてきており、今後も重要な役割を果たしていくものと考えられる。