質問主意書

第91回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質九一第一六号

  昭和五十五年四月二十五日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員二宮文造君提出郵趣に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員二宮文造君提出郵趣に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 昭和五十三年度における郵便切手類の発行目的別収入総額と印刷等の製造原価総額は、次のとおりである。

収入総額

特殊切手                 四百二十一億七百万円
一般切手               二千九百四億四千四百万円
年賀葉書               五百四十九億六千九百万円
一般葉書               三百五十六億六千八百万円

製造原価

特殊切手                   十億六千五百万円
一般切手                   八億七千六百万円
年賀葉書                  二十四億千四百万円
一般葉書                  十八億五千八百万円

(2) 「全国電話自動化完了記念切手」の一シート当たりの製造原価は、十六円六十九銭であり、そのほかこれより高い例及び安い例は次のとおりである。

(高い例)
証券取引所一〇〇年記念切手
一シート当たり 三十七円九十八銭

(安い例)
第一四回国際整形災害外科学会議記念切手
一シート当たり 十五円九十七銭

(3) 郵趣の普及を図るため、今後とも各種施策の充実に努めることとする。

二について

(1) 最近の特殊切手の売りさばき状況をみると、発売初日にすべてが売り切れるという状態ではない。
 また、購入のため郵便局に行けない事情のある人たちの利便を図るため、東京中央郵便局において通信販売の取扱いを行つているので、その利用を勧めている。
 特殊切手が多くの人たちに利用される面から、今後とも需要に見合うような発行枚数の決定、郵便局への配分の適正化等について配意していくことといたしたい。
(2) 通信販売で単片による申込みを処理することとなると、事務処理が煩雑となり、特に切手の切り離しの作業が加わり、人手を著しく要することとなるので実施は困難である。
(3) 普通切手は、常時どこの郵便局でも発売してきたものであり、また、ロール切手は、郵便切手発売機用として調製しているもので、通信販売を行う考えはない。

三について

(1) 昭和五十四年四月二日から、新型の郵便切手発売機の実用実験に伴い発売を開始した十円、二十円、五十円及び百円の各ロール郵便切手の発売局、製造枚数及び発売枚数は次のとおりである。

発売局(昭和五十五年四月二十三日現在)                十九局

五十円ロール郵便切手発売局 赤坂局、品川局、本郷局
二十円及び五十円ロール郵便切手発売局 新宿局、練馬局、日本橋局、渋谷局、千種局、大阪東局、神戸中央局、博多局、札幌大通局(ただし、渋谷局及び大阪東局は昭和五十五年四月一日から発売開始)
十円・二十円・五十円及び百円ロール郵便切手発売局 東京中央局、神田局、麹町局、蒲田局、大森局、中野局、岡山中央局(ただし、中野局及び岡山中央局は昭和五十五年四月一日から発売開始)

製造枚数

十円ロール郵便切手  四百六十万枚
二十円ロール郵便切手 二百万枚
五十円ロール郵便切手 三百五十万枚
百円ロール郵便切手  百七十五万枚

発売枚数(昭和五十四年度発売枚数)

十円ロール郵便切手  百八十七万枚
二十円ロール郵便切手 八十四万枚
五十円ロール郵便切手 六十四万枚
百円ロール郵便切手  五十六万枚

(2) ロール郵便切手の発売制限はしていない。
 今後においても、需要に応じて調達し、発売していく考えである。
(3) 利用者に購入された郵便切手類が、どのような郵趣品に使用されて販売されているかは調査していない。
(4) 郵便切手発売機用のものであり、機械設置局以外の局での販売は考えていない。

四について

 切手帳の販売についてはどの程度の需要が見込めるか、また、調製コストが一般の普通切手の二十倍もかかることからコスト面の問題もあり、慎重に検討することといたしたい。

五について

 御指摘の点については、統一する方向で検討している。

六について

(1) 明治二十二年逓信省令第六号によつて明治十二年までに発行された普通切手四十三種と通常葉書八種が、また、意匠が軍国主義、神道等の象徴に関係ある郵便切手及び郵便葉書使用禁止に関する省令(昭和二十二年逓信省令第二十四号)によつて普通切手二十四種と楠公銅像の葉書四種の使用が禁止された。
(2) 「銭位」の切手等については、現在ほとんど使用されておらず使用禁止の意義は乏しいので、殊更に使用を禁止する考えはない。

七について

(1) 自動押印機を用いての、いわゆる「広告入り消印」の実施要領の概要は、次のとおりであつた。

ア 広告場所 郵便葉書の料額印面の下部とする。
イ 広告面積 縦三センチメートル、横一・八センチメートル
ウ 一日平均消印数が一千通未満の局は、広告を取り扱わないこととする。
エ 契約単位 刻印使用郵便局ごとに一週間とする。ただし、数局分を併せて契約するも妨げないが、同一郵便局について連続三週間を超えてはならない。
オ 刻印の広告については、申込書に添付の広告の文案又は図案を審査し、適当と認めたときは、広告主に刻印の規格を示して広告主の負担においてこれを調製せしめる。

 また、使用した標語には「新潟県産業博の長岡へ」、「佐渡汽船、おけさの佐渡へ」等がある。
(2)及び(5) 「広告付き葉書」については、その差出人は、葉書に印刷されている広告の内容をあらかじめ承知してその葉書を購入するという選択の自由があるので、御指摘のようなことにはならないと考える。また、「広告付き葉書」の具体的な実施方法については、目下検討中のところである。
(3)及び(4) 現在各方面の意見を参考にしながら検討中である。

八について

(1) 現状においては、大都市の中心局など数局を除いて、押印希望者はあまりないのが実情なので、拡大については考えていない。
 なお、国民体育大会記念切手のような場合には、各種目の開催地にも使用局を拡大している。
(2) 初日用通信日付印の使用方法の変更については、当面考えていない。
(3) 小型記念通信日付印は、各地の公の式事又は催物にちなみ使用するもので、その意匠は当該記念事項に最もふさわしいものを選定しているので、一局に同一記念事項で二種類以上使用することは当面考えていない。
(4) 小型記念通信日付印の記念事項名は、公印であることからそれにふさわしいものとし、かつ、その面積、図案全体のバランス等を考慮し、簡明に表現している。

九について

(1) 消印は鮮明にするよう努力いたしたい。
(2) 郵便物に差出人の全く予期しない標語などが表示されるのは好ましくないと考えられるので、標語は郵便事業に関するものに限つているものであり、その多様化といつたことは考えていない。

十について

(1)ア 海外で開催される国際切手展に作品を展示して、日本切手の宣伝普及に努めている。
   イ 新切手発行の都度、在外公館へ切手発行案内を送付している。
   ウ 海外の郵趣家の需要にこたえるため、東京中央郵便局において通信販売を行つている。

(2) 我が国郵便切手の海外周知及び郵趣を通じての国際交流を図るため、世界各国で開催されている国際切手展に特別出品をするなど積極的に参加しており、また、来年十月、東京国際切手展’81組織委員会の主催により開催される東京国際切手展に対して、可能な範囲で支援することにしている。
(3) 世界切手のカタログを発行するとした場合、その作製には膨大な経費を要するものと考えられ、御指摘のようなことは考えていない。

十一について

(1) 開催経費を助成することは考えていない。
(2) 一定地域ごとに切手展を開催できる展示場を備えた施設を設けることは、郵政財政上困難である。

十二について

(1) 郵政審議会の専門委員には、著名な切手収集家が含まれている。
(2) 各種郵趣団体が主催する会合等にはできるだけ参加しており、特にこの種の会合を開くことは考えていない。
(3) 利用者から電話や投書等で常に、多数の意見が寄せられており、特に「意見箱」を設置する実益はないと思われる。

十三について

(1) 昭和五十三年度の財団法人全日本郵便切手普及協会の事業実績は、別紙のとおりである。
(2) 財団法人全日本郵便切手普及協会は、郵便切手収集趣味の普及と健全な育成を図り、また、海外に対しては、日本郵便切手の紹介に努めるとともに、郵便切手収集趣味を通じ各国民相互の理解と親善を図り、もつて世界平和に貢献することを目的としており、これらの目的を達成するために、機関誌の発行、展覧会等の催物の開催、郵趣品の製作、発売、取次ぎ等を行つているものである。
(3) 昭和五十四年度における使用済郵便切手の売払い価格は、一キログラム当たり六十四円五十銭である。
 また、一般への頒布に際しては、郵政省の指導の下に適正な措置が必要なので、財団法人全日本郵便切手普及協会に売り払つているものである。

十四について

(1) 東京国際切手展の概要は、次の予定であると聞いている。

名称 東京国際切手展’81
主催 東京国際切手展’81組織委員会
会期 昭和五十六年十月九日から十八日まで
会場 東京国際貿易センター南館
展示フレーム数 約四千フレーム

(2) 資金計画については、目下、組織委員会で検討中であると聞いている。
(3) 寄附金つき郵便切手の発行は考えていない。
(4) 組織委員会では、展示用フレームの調製費として約一億円を見込んでいると聞いている。
 なお、昭和五十五年度郵政事業特別会計予算には計上していない。
(5) 組織委員会が送付した海外向け案内書(五十五か国)に対し、現在四十四か国のコミッショナーから参加の意思表示を受けていると聞いている。
(6) 国内向け案内書は、組織委員会で目下準備中であり、現段階では郵趣関係誌等により周知を行つていると聞いている。
(7) 組織委員会が決めた出品資格は、全日本切手展において銀賞以上の賞を受けた作品及びゼネラルコミッショナーがそれと同等以上と認めた作品となつており、昭和五十四年度の全日本切手展までの銀賞以上の受賞作品は三百五十五点であると聞いている。

別紙 昭和53年度事業実績 1/2

別紙 昭和53年度事業実績 2/2