質問主意書

第90回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

沖繩県のつぶれ地(未買収道路用地)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年十二月十一日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 安井 謙 殿


   沖繩県のつぶれ地(未買収道路用地)に関する質問主意書

 沖繩県のつぶれ地(未買収道路用地)は、周知のように第二次大戦の終結に伴う、米軍による軍事基地優先政策の下で土地の利用を妨げられていた住民に対し、当時の沖繩群島政府が「沖繩群島割当土地に関する臨時処置条例」を制定し、地主の承諾なしに道路等を建設したために生じたものである。したがつて、憲法で保障されている財産権を侵害しているこのつぶれ地問題は、日本国政府の戦後処理の一つとして措置しなければならない問題である。
 以下質問する。

一 国道(直轄・補助国道)及び県道のつぶれ地の実態はどうなつているか、面積及び金額別に示されたい。またその買収状況はどうなつているか買収実績・面積での進捗率を示されたい。いつまでに完全に買収する予定であるか示されたい。

二 市町村道のつぶれ地の実態(面積・金額)はどうなつているか、「一級」・「二級」及び「その他」道路別に示されたい。またそれに対する国の処理方針、市町村道のつぶれ地に関する現在までの予算措置及び来年度の予算措置を示されたい。

三 戦後三十四年間、講和条約発効後からも二十七年間という長期の間、つぶれ地地主は一方的に財産権をはく奪され、物心両面による損失と苦痛に耐えてきている。さらにこれ以上つぶれ地地主に対してがまんを強いることは極めて酷である。そこで国としては、市町村道のつぶれ地の適正な補償を三年以内に完了するよう措置すべきものと思うがどうか。仮りに三年以内に完了できないというのであれば、いつまでに完了する計画であるか伺いたい。

四 終戦後沖繩県の統治が、占領軍軍政から米国琉球民政府に引きつがれ、その軍事優先政策の下で、琉球政府は日本復帰に至るまでの二十七年間、名目的な自治権しか与えられずかつその貧弱な財政基盤から、市町村道路のつぶれ地の買い上げ措置ができなかつた。この特殊な事情を考えると、講和条約発効の前後を問わず、国の責任においてつぶれ地の補償をするべきものと思うがどうか。

五 右のようなつぶれ地問題発生の特殊事情を考えると、この問題はあくまでも日本国の戦後処理の問題として対処すべきものである。したがつて、つぶれ地となつている市町村道路用地は「一級」・「二級」そして「その他」の区別なく国の責任において全面補償をするべきものと思うがどうか。
 また、その買い上げ補償については、新たに沖繩復帰特別措置関係法令の中に、明確に国の責任で処置することを定めるべきものと思うがどうか。

  右質問する。